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2026.06.04かわじろう【あたらしいともだち】ブックレビュー

 

 

グイグイと、来れば来るほど、引く。

 

私だけではないはずだ。

 

 

歳を重ねるごとにそれは強くなり

人に巻き込まれることも、他と同調すること、愛想笑いでやり過ごすこと

それらと距離を置くことを次第に覚える。

 

 

しまいには

「友達なんていなくてもいい」

突っ張って生きている。

 

これが大人になることだと思っていた。

 

 

 

高く分厚い壁、を作っていないだろうか?

 

 

 

・・・・・・

 

『あたらしいともだち』

かわじろう 著

 

マガジンハウス

 

・・・・・・

 

 

 

 

1 この本のおそろしさ

 

漫画で短編なので、あっという間に読める。

時間にして190ページの本書を30分くらいで読めた。

 

 

ただ、この本の「おそろしさ」は

読んだ直後ではなく、

時間経過とともに染み込んでいく。

 

 

シンプルなタッチ。

これがこの本の最大の魅力である、と私は思う。

 

 

余計なものは一切ない。

二人(ときに一羽)の登場人物を中心としたストーリーで展開していく。

ここに他の背景や人物や描写など、無駄なものは一切排除されている。

 

 

これは意図的なのか?

 

だとしたら奇才だ。

あえての“ヘタウマな漫画”が、人の心に残ってしまうのだから。

 

 

 

 

2 押し付けがましくない

 

この絵にとても魅力を感じる。大好き。

噛めば噛むほど、のスルメに似ている。

 

 

なんと言っても

全体の印象が

「押し付けがましくない」

これに尽きる。

 

 

おそらく、作者のかわじろう氏もそんな方だろうと推測する。

でなければ、こんなストーリーは描けないだろう。

 

 

押し付けがましくないけれど

 

あたらしいともだち、は

突然で、すこしお節介に、時に強烈な印象で

主人公たちの元に現れる。

 

 

困惑する主人公たち。

だって、

これまで他人に対して高く分厚い壁を作って生きてきたのだから。

 

 

 

 

 

3 壁を破る?それとも?

 

とりわけ好きなストーリーがある。

 

 

#4  「正三と九太郎」・・・

 

毎朝、仏前で亡くなった妻・よしちゃんに声をかける主人公・正三。

 

そこに離れた場所に住む、娘ミカから

突然「韓国旅行に行くから(飼っている)インコを預かって」と頼まれる。

 

過去のトラウマ?もあり

正三は動物もインコも嫌だと断るが、娘は屈せずインコを実家に連れてくる。

 

 

お互いが緊張して最初は距離を置こうとするも、

手探りの状態から

インコ・九太郎への餌やりで次第に心を通わせるようになる。

 

 

頭の上にフンをされても、

「シナモンロールのようなうんこを落とされました」と

淡々といつものように仏前の妻に報告をする正三。

 

 

何日か後に

仏壇の前に座っている正三の肩に乗り

九太郎の口から妻の名前「よしちゃん」と言うのを聞いて一気に急接近。

 

 

娘に「九ちゃんをくれ」と頼む娘ミカを困らせるほどに。

 

 

・・・・・

 

 

とにかく

これは絵がないと伝わらないので、本を買っていただきたい。

 

 

 

押し付けがましくないから、うまくいく。

 

 

たとえ大きな壁があっても

巻き込まれたり、引っ張られたり、ぐちゃぐちゃにされても。

壁をヒョイ、と乗り越えられる。

 

 

壊すだけではない。

乗り越えるのだ。

 

 

あたらしいともだち、の存在によって。