
「続編はいつ単行本になりますか?」
『成瀬は天下を取りにいく』があまりに面白かったので
書店で続編『成瀬は信じた道をいく』を購入したついでに
これから単行本になるであろう
ハードカバーで発売中の『成瀬は都を駆け抜ける』第三弾単行本の発売を書店員に聞いた。

グイグイ行き過ぎた?とも思ったが
通勤でバッグに入れるサイズ感を優先し、単行本を好んでいる。
混んだ車内でも、疲れた頭の中でも
いつでもその世界観に入り、集中できる読書は貴重な時間でもある。
書店員は続編が単行本になったタイミングを予想し、
PCを眺めながら「早くても来年には出るんじゃないか」と教えてくれた。
ちなみに私はこれまでAmazonを利用したことがない。
自慢にも何にもならないが。
本屋で宝探しのようにウロウロするのが好きだ。
こんな面白い本、なんでこれまで読まなかったのか、少し後悔したほどだ。

『成瀬は天下を取りにいく』
宮島 未奈 著
新潮社
中2の女子、成瀬あかり。
ふらっと書店で本を手に取り
本の裏表紙の解説を見た瞬間「買おう」と即決した。
娘と同じ年、中2の女子。
購入のきっかけは、たったこれだけ、だった。
ベストセラーになっていることは知っていた。
むしろベストセラーだから読まない。と斜に構えていたところもある。
しかし、だ。
読んで間もなく夢中になっている自分に気がつく。
半分も読みかけたところで中2の娘に
「成瀬面白いよ!」と勧めていた。
現在52歳のおばさんが何を言っているのだ?!
なんでこうも成瀬にハマってしまうのか?
時はコロナ禍。
何もかも「規制」や「ルール」のもと、国民が不安で手探りの中
型破りなヒロインが登場する。
そう、これが成瀬あかり、だった。
マスクやソーシャルディスタンスが叫ばれていた当時。
文中にもその記述が随所に散りばめており「ああ、こんな時期もあったなあ」と少し懐かしむ。
成瀬は一言で言うと、異端児。だ。
いきなり坊主にしたり、M-1に出場したり、とか。
「やる」と決めたことを実行する。
行動するにも、一人ではできることとできないことがある。
西武大津店の閉店一カ月前に、成瀬あかりはある決断をする。
西武のユニフォームを着て毎日テレビに映ること。
テレビクルーには“やべー奴扱い”で相手にされないが
それでも片隅でも移ろうと必死だ。
ただの承認欲求か?と思う。けれどそれだけで終わらない。
クラスメイトの島崎みゆきを巻き込み、二人でテレビに映る。
島崎は真っ当な「フツーの感覚」を持っている。
最初は成瀬の行動を訝しげにいたが、いつしかそれは強い絆に変わっていく。
成瀬のまっすぐで破天荒な行動が、フツーの感覚を壊していく。
気持ちいいくらい、最初から最後までスカッとする内容である。
成瀬と島崎。
成瀬を取り巻く登場人物はこれだけではない。
中学で一緒だった二人が高校で少しの時間と距離が離れる。
それぞれの友人が出来、優先順位も変わっていく。
ちょっと切ないシーンもある。
P236・・・・・・
「成瀬ってそういうところあるよね。お笑いの頂点目指すって言っておきながら、四年でやめちゃうし」
「やってみないとわからないことはあるからな」
(中略)
「成瀬の言いたいことはわかるけど、なんかモヤモヤするんだよね。こっちは最後まで見届ける覚悟があるのに、勝手にやめちゃうから」
成瀬は背中に汗が伝わるのを感じた。振り返ると心当たりが多すぎる。
・・・(本書より抜粋)・・・・・
まるで推しを育てているような、そんな関係だ。
誰かを好きになり、自分を捨てて応援したい。
読みながら成瀬のファンになっている。
そんな令和のヒロイン、成瀬である。