
突然だけど、
あなたは
“着ぐるみ”を着たことがあるだろうか?
「ない」と言う方がほとんど、だと思う。
私はある。
着ぐるみを着た時に感じた「ある変化」について話したいと思う。
かれこれ7年以上前のことになるが、小学校PTA役員だった私は、
地域の交流会としてのイベントに参加することになった。
イベントの際に、地域のキャラクターも参加することになっている。
そのキャラクターについて
「金内さん、毎年恒例で地域のキャラクターの着ぐるみ着て欲しいんだけど、いい?」
「・・・へっ?わたし?」
地域の担当おじさんに声をかけられ、一瞬戸惑ったが、二つ返事でOKした。
当日は近所の公民館で、小学生を中心に子供たちや大人が集うことになっている。
「子供たちのため、かぁ」と
変な正義感とともに、当日を迎えることになった。
そのイベントに我が子も来たかどうか?定かではない。もはや覚えていない。
それだけ、着ぐるみを着ることは、私にとって一大イベントでもあった。
公民館につき、少し緊張した面持ちで椅子に座って待っていると
おじさんが抱えてきた大きな着ぐるみと一緒に向かってきた。
「じゃあ、お願いね」
手渡された着ぐるみ。
それだけ言い残し、私と付き添いのため参加してくれた役員の二人が残った。
「金内さん、じゃあ、着替えましょうか」
役員のKさんがニコニコとサポートしてくれる。

まるで、まな板の鯉状態。
どうさばいてくれようか?
促されるまま、公民館にある和室で着ぐるみを身につける。
仕上げに大きな頭を乗せて完了。
簡単そうに説明しているが、実は結構着るのに苦戦した。
後ろのファスナーは手がとどかない。
大きな頭はバランスが取りづらい。
小さな穴から見える視界はいつもの半分以下。
「さ、行きましょう」
手を繋いでくれたKさんにエスコートされ会場に向かった。
会場に着くなり、子供たちが歓声とともに近づいてきた。
驚く間もなく、
「ここは・・!」と振り切った。
普段の私はというと
孤独を愛し、我が子たちには怒鳴り散らす怖い母で、変化を恐れている人間だ。
でも着ぐるみを着たことでスイッチが入った。
自分の中の最大限の「かわいさ」「愛嬌」「サービス精神」がどこからともなく湧いてきた。
手を振り、体をくねらせ、小走りに子供に駆け寄る。
もう、必死だった。
顔なんて誰からも見えないけれど、自分の役割を演じ切った。
終わった後はどっと疲れて、死んだように眠った。

役割って、この世に存在する。
母、妻、嫁、娘、孫、
他には仕事やプライベートで演じるキャラ、など。
その時その時の求められているものに
精一杯の力を出すだけ。
この着ぐるみを着た経験から、
私の「吹っ切れ力」はパワーアップしたような気がする。