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2026.08.22宮島未奈【成瀬は天下を取りにいく】ブックレビュー

 

 

「続編はいつ単行本になりますか?」

 

 

『成瀬は天下を取りにいく』があまりに面白かったので

書店で続編『成瀬は信じた道をいく』を購入したついでに

これから単行本になるであろう

ハードカバーで発売中の『成瀬は都を駆け抜ける』第三弾単行本の発売を書店員に聞いた。

 

 

 

 

グイグイ行き過ぎた?とも思ったが

通勤でバッグに入れるサイズ感を優先し、単行本を好んでいる。

 

混んだ車内でも、疲れた頭の中でも

いつでもその世界観に入り、集中できる読書は貴重な時間でもある。

 

 

書店員は続編が単行本になったタイミングを予想し、

PCを眺めながら「早くても来年には出るんじゃないか」と教えてくれた。

 

 

ちなみに私はこれまでAmazonを利用したことがない。

自慢にも何にもならないが。

本屋で宝探しのようにウロウロするのが好きだ。

 

 

こんな面白い本、なんでこれまで読まなかったのか、少し後悔したほどだ。

 

 

 

 

『成瀬は天下を取りにいく』

宮島 未奈 著

 

新潮社

 

 

 

 

1 令和のニューヒロイン

 

中2の女子、成瀬あかり。

 

ふらっと書店で本を手に取り

本の裏表紙の解説を見た瞬間「買おう」と即決した。

 

娘と同じ年、中2の女子。

購入のきっかけは、たったこれだけ、だった。

ベストセラーになっていることは知っていた。

むしろベストセラーだから読まない。と斜に構えていたところもある。

 

 

しかし、だ。

 

読んで間もなく夢中になっている自分に気がつく。

 

半分も読みかけたところで中2の娘に

「成瀬面白いよ!」と勧めていた。

 

 

現在52歳のおばさんが何を言っているのだ?!

なんでこうも成瀬にハマってしまうのか?

 

 

時はコロナ禍。

何もかも「規制」や「ルール」のもと、国民が不安で手探りの中

型破りなヒロインが登場する。

 

そう、これが成瀬あかり、だった。

 

 

 

 

2 周りの「普通」と調和する

 

マスクやソーシャルディスタンスが叫ばれていた当時。

文中にもその記述が随所に散りばめており「ああ、こんな時期もあったなあ」と少し懐かしむ。

 

 

成瀬は一言で言うと、異端児。だ。

 

いきなり坊主にしたり、M-1に出場したり、とか。

「やる」と決めたことを実行する。

 

行動するにも、一人ではできることとできないことがある。

 

 

西武大津店の閉店一カ月前に、成瀬あかりはある決断をする。

西武のユニフォームを着て毎日テレビに映ること。

 

テレビクルーには“やべー奴扱い”で相手にされないが

それでも片隅でも移ろうと必死だ。

ただの承認欲求か?と思う。けれどそれだけで終わらない。

 

クラスメイトの島崎みゆきを巻き込み、二人でテレビに映る。

島崎は真っ当な「フツーの感覚」を持っている。

最初は成瀬の行動を訝しげにいたが、いつしかそれは強い絆に変わっていく。

 

 

成瀬のまっすぐで破天荒な行動が、フツーの感覚を壊していく。

気持ちいいくらい、最初から最後までスカッとする内容である。

 

 

 

3 成瀬のファンになる

 

成瀬と島崎。

成瀬を取り巻く登場人物はこれだけではない。

 

中学で一緒だった二人が高校で少しの時間と距離が離れる。

それぞれの友人が出来、優先順位も変わっていく。

 

ちょっと切ないシーンもある。

 

 

P236・・・・・・

 

「成瀬ってそういうところあるよね。お笑いの頂点目指すって言っておきながら、四年でやめちゃうし」

「やってみないとわからないことはあるからな」

 

(中略)

 

「成瀬の言いたいことはわかるけど、なんかモヤモヤするんだよね。こっちは最後まで見届ける覚悟があるのに、勝手にやめちゃうから」

成瀬は背中に汗が伝わるのを感じた。振り返ると心当たりが多すぎる。

 

 

・・・(本書より抜粋)・・・・・

 

まるで推しを育てているような、そんな関係だ。

 

 

誰かを好きになり、自分を捨てて応援したい。

読みながら成瀬のファンになっている。

 

 

そんな令和のヒロイン、成瀬である。