先日、
娘の子宮頸がんワクチン接種2回目が無事に終わった。
12年前ここで生まれた、
産婦人科の待合室で注射を怖がる緊張顔の娘と
久しぶりに開いた母子手帳を眺めながら
できるだけリラックスするように努めた。
母子手帳の成長曲線を見て
ガクッと下がっているポイントがある。
0歳4ヶ月の時だ。
それから横ばいになり、とうとう平均の帯から下降線をたどり外れている。
娘がそれに気がついた。
「なんで、ここは下がっているの?」
「ああ、これね。母乳が出なくて(娘の)成長が止まっちゃんだ」
「ふーん」
「ミルクも飲まなかった、母乳も出なかった、早めの離乳食も受け付けなかった。
あの頃は辛かったなあ」
娘は4きょうだいの末っ子、だ。
3人目までは問題なく母乳が出ていた。完全母乳だ。
しかし、4人目の娘は出産後まもなくして、母乳が思うように出なかった。
初めは「そんなわけがない」と気にしないでいたが
日を追うごとに焦り始めた。本当に出ていないようだ。
お腹が空いて泣き続ける娘。
ミルクを作りあげようとするが、顔を背けて泣く。
口さえつけない。
お互い寝不足も続いた。
母乳マッサージ、リラックスするように努めること、母乳にいい食べ物、
やれることは何でも試した。
少しは出ているようだが、完全に足りない。
保健所に行き、保健師さんたちに相談した。
「早めの離乳食をあげる」
これが結論だった。
確か4ヶ月頃だったと思うが
ドロドロした水のようなお粥を口に含ませることから始めた。
藁にすがる思いとはこのこと。生きるためだ。
なんとか娘は少しづつ口にしてくれた。
いくつかの病院に出向き、
最終的に大きな病院で
娘の成長を1ヶ月に一回、定期的に診てもらうことになった。
病院の先生は淡々と、だが優しく私に言った。
「平均よりも、娘さん自体の成長だけを診てね」
「緩やかでもちゃんと伸びていれば問題ないから」
救われた気がした。
何度かお世話になった、保健師さんたちも
なかなか食べようとしない娘のことで相談したら
「娘が“食べたい!”とアクションをした時が本当に娘さんが食べたいって時なの」
そうか、そんな時があった。と思い出した。
顔を近づけて匂いを嗅ぐような顔。
「その時を見逃さないでね」
って励ましてくれた。
さらに、後からハッと気がついたことだが
私が無理やり「食べさせようと」必死だったのを察してくれ、
遠回しに優しくアドバイスしてくれたのだ。
今だに思い出してはグッとくる。
「死んでしまうんじゃないか」と心配だった。
当時の写真は赤ちゃんなのに痩せていて、今だに見たいと思わない。
それからしばらくして、成長曲線は緩やかに平均の下の方に入った。
病院通いも「もう大丈夫」と言われ、成長を家庭で見守ることになった。
現在は、クラスで一番前だが、つまみ食いが大好きな健康体で育っている。
4人目だから子育て楽勝?よく言われるが、そんなことはない。
心身ともに健康であれば、何もいらない。
たまに欲の顔が出しては理性を失いそうになることもあるが
いやいや、あの頃を思い出せ。と自制する。
自分(たち)だけで『子育て』は不可能だ。
できないこと、無理なことはプロに頼れ。
子どもと周りの人を信じる。
腑に落ちた一件である。