最初に申し上げておくが
これまで、ハライチのファンでもなかったし、
岩井勇気のファンでもなかった。
どちらかと言うと親みのあるキャラの澤部に対し
どこか湿り気のあるキャラの岩井があまり好きではなかった。
しかも彼らのネタで笑ったことがない。
それなのに、なぜかタイトルに惹かれて購入した。
📕📕📕
『僕の人生には事件が起きない』
岩井勇気 著
新潮社
📕📕📕
見事にひっくり返った。
久しぶりに、心から笑った。
肩を振るわせながら、止まらない涙を流して。
電車の中で人目を憚らず、読書しながら。
こんなに笑ったのは
一年以上前に観た、
よしもと幕張イオンモール劇場の大トリの佐久間一行の
「なにやってんのよ〜」ネタ以来だ。
不意に仕事中などでも、思い出し笑いをしてはニヤつくことがある。
芸人の本、と言うのは面白い。
オードリーの若林正恭、ピースの又吉直樹、しかり、
決まって、コンビのどちらかと言うと「おとなしい」方だ。
本書の『はじめに』でもご本人が言っている。
「“ぽい”よね」と自分に決めたのか?
編集者からオファーがあった経緯も見事に言い当てている。
でもそこに目をつけた編集者の嗅覚はもっとすごい。
平凡な生き様だからこそ、大きな共感がある。
P32・・・・・・・
結果的に芸人になるまで真っ当な人生を送ってきて、芸人になっても全然苦労していない。こうなるとトーク番組で自分の生い立ちを話そうにも、大したエピソードがない。それがそういう番組の打ち合わせで如実に出る。番組スタッフはどうにか出演者の生い立ちのエピソードを聞き出そうとする。
「地元どんなところでしたか?田舎っぽいところありました?」
━━━ない。
「学生時代どんな子でした?いじめられたりしていませんでした?」
━━━してない。
「実家はどうですか?貧乏で困ってませんでしたか?」
━━━困ってない。
「下積み時代の苦労とかあったら教えてください」
━━━苦労してない。
まさに地獄だ。番組スタッフが何度も同じ質問をしてくる。「え、でも学生時代、変な子だったりしたんじゃないですか?」
・・・・・本文より抜粋・・・・・
平凡こそ、ネタになる。
皆が驚く、面白エピソードじゃなくていいのだ。
日常の出来事(ネタ)こそ、ごろごろ、そこいらに転がっている。
アウトプットするために「自分の言葉」を鍛えるのだ。
そしてそれは、人のためだけで無く、自分の考え方や価値観が明確になり、軸が強固なものになる。
日々、発信する私としては大きな共感と勇気をもらった。
電車の中で迂闊にも読んでしまった、
「ショッピングモール満喫ツアー」の暗闇に潜む化け物
の章は抱腹絶倒。
絶対に、人前で読まないこと。クク。
それにしても
こんなにフツーの人でいいの?岩井さん。
面白すぎだろ!