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2024.10.30平凡こそネタ【僕の人生には事件が起きない】ブックレビュー

 

最初に申し上げておくが

 

これまで、ハライチのファンでもなかったし、

岩井勇気のファンでもなかった。

どちらかと言うと親みのあるキャラの澤部に対し

どこか湿り気のあるキャラの岩井があまり好きではなかった。

しかも彼らのネタで笑ったことがない。

 

それなのに、なぜかタイトルに惹かれて購入した。

 

📕📕📕

 

『僕の人生には事件が起きない』

岩井勇気 著

新潮社

 

📕📕📕

 

見事にひっくり返った。

久しぶりに、心から笑った。

肩を振るわせながら、止まらない涙を流して。

電車の中で人目を憚らず、読書しながら。

 

 

こんなに笑ったのは

一年以上前に観た、

よしもと幕張イオンモール劇場の大トリの佐久間一行の

「なにやってんのよ〜」ネタ以来だ。

不意に仕事中などでも、思い出し笑いをしてはニヤつくことがある。

 

 

芸人の本、と言うのは面白い。

 

オードリーの若林正恭、ピースの又吉直樹、しかり、

決まって、コンビのどちらかと言うと「おとなしい」方だ。

本書の『はじめに』でもご本人が言っている。

「“ぽい”よね」と自分に決めたのか?

編集者からオファーがあった経緯も見事に言い当てている。

でもそこに目をつけた編集者の嗅覚はもっとすごい。

 

平凡な生き様だからこそ、大きな共感がある。

 

 

P32・・・・・・・

結果的に芸人になるまで真っ当な人生を送ってきて、芸人になっても全然苦労していない。こうなるとトーク番組で自分の生い立ちを話そうにも、大したエピソードがない。それがそういう番組の打ち合わせで如実に出る。番組スタッフはどうにか出演者の生い立ちのエピソードを聞き出そうとする。

 

「地元どんなところでしたか?田舎っぽいところありました?」

━━━ない。

「学生時代どんな子でした?いじめられたりしていませんでした?」

━━━してない。

「実家はどうですか?貧乏で困ってませんでしたか?」

━━━困ってない。

「下積み時代の苦労とかあったら教えてください」

━━━苦労してない。

まさに地獄だ。番組スタッフが何度も同じ質問をしてくる。「え、でも学生時代、変な子だったりしたんじゃないですか?」

 

・・・・・本文より抜粋・・・・・

 

 

平凡こそ、ネタになる。

皆が驚く、面白エピソードじゃなくていいのだ。

日常の出来事(ネタ)こそ、ごろごろ、そこいらに転がっている。

 

アウトプットするために「自分の言葉」を鍛えるのだ。

そしてそれは、人のためだけで無く、自分の考え方や価値観が明確になり、軸が強固なものになる。

日々、発信する私としては大きな共感と勇気をもらった。

 

電車の中で迂闊にも読んでしまった、

「ショッピングモール満喫ツアー」の暗闇に潜む化け物

の章は抱腹絶倒。

絶対に、人前で読まないこと。クク。

 

それにしても

こんなにフツーの人でいいの?岩井さん。

面白すぎだろ!