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2025.11.30ドラマ【阿修羅のごとく】第1話レビュー/家と食と会話

 

 

 

日曜はドラマレビュー。

 

 

Netflix

『阿修羅のごとく』

 

向田邦子 原作

是枝裕和 監督

 

 

先週まで『北の国から』を全話視聴し、

今週から『阿修羅のごとく』を一話ずつ、毎週追っていきたい。

 

 

初っ端から圧倒された。

いやー。凄い。

想像を超えた。

 

 

『北の国から』が男たちのドラマだとしたら

対し『阿修羅のごとく』は女たちのドラマだ。

 

 

 

 

1   「食」×「会話」が結ぶもの

 

向田邦子といえば、

現代でもなお、彼女の生き方は幅広い層から支持されている。

ファッションや食などを綴ったエッセーは周知の通り。

自称「食いしん坊」として食に対するこだわりを、自身の言葉にして散りばめた向田氏。

高じて、実際「ままや」という小料理屋まで妹(向田家の三女/和子)と共同経営し立ち上げたほど。

 

 

これまでの是枝裕和監督の作品では

とりわけ台所(キッチンではない、台所だ)での会話しながらの調理のシーンが印象的。

どの作品にも出てくる台所での調理シーンは

どこの家庭でも出てくるような「フツー」のメニューながらも、ものすごく「美味しそう」。

気張っていない、家庭料理が是枝監督の手にかかれば、たちまち「ごちそう」になる。

 

 

お二方の共通点

「食」「会話」を繋ぎ合わせるものは一体なんだろうか。

 

 

家庭のシンボリックなもの、として

第一話

「台所」での女たちの「会話」がこのドラマの見どころだろう。

 

 

 

 

 

2 娘たちの気持ち

 

 

第一話では

次女・巻子(尾野真千子)の家に四姉妹が集合(四女は遅れて参加)し、

鏡開きの割った餅で、揚げ餅を作るシーンがある。

 

 

鏡餅で、ひび割れた部分を

「お母さんの踵」みたいだと大笑いする娘たち。

 

揚げ餅を作りながら母・ふじ(松坂慶子)のことを話す。

 

 

・・・・・・

 

 

「私覚えているなぁ。お母さんが足袋脱ぐ音」

「夜寝る時でしょう」

「電気消した後、枕元で踵に足袋が引っかかって、なんとも言えないくしゃくしゃした音立てるのよね」

「どうしてあんなにひび割れていたのかしら?荒れ症だったのかな?」

「苦労したのからよ。食べるもの食べない時期があったもの。戦後もののない時でしょう。

滋養になるものはお父さんと子供たち。自分はお雑炊しか食べなかったもの」

 

 

・・・・・・・・

 

苦労をした母のことを思う娘たち。

 

 

 

 

 

3 女のしたたかさ

 

一番最初のシーンで登場する三女・滝子(蒼井優)は

図書館司書として働く、男気ゼロの真面目な人物。

ある日、父の浮気現場を見てしまった。

 

 

集まりの際

「お父さんが面倒見てる人いるわよ」

滝子が興信所に頼み、父・恒太郎(國村隼)の浮気を検証する。

 

姉妹が集まった時も、父の浮気現場の写真を持ってきたが

皆、滝子の話をまともに聞かない。写真も「玉手箱」と言って見ようともしない。

 

 

深刻になりそうな展開だが、

 

長女・綱子(宮沢りえ)は差し歯が取れ、大笑い。

次女は「デパートでシャツ一枚も買えない人が?!」「人違いじゃないの」と取り合わない。

四女・咲子(広瀬すず)は「末っ子じゃなかったんだ」と落ち込みつつ、テレビをつけて三女と喧嘩してしまう始末。

 

 

誰も相手にしてくれない怒りで

「お父さんに女の人がいたのよ!」と声を荒げる滝子。

 

 

母を庇うも、母もまた強し。

 

 

母も夫の背広をブラシにかけていたら,

背広のポケットからミニカーが発見される。

浮気相手の息子のミニカー。

 

「でんでん虫」を静かに歌いながら、襖にミニカーを投げつけて穴を開けるシーンは狂気。

(その後桜型の障子紙で補修しているものいい)

 

穏やかな顔つきで、突如阿修羅さながらの表情になる母。

その後も何事もなかったように過ごす。

 

 

家庭の中の母。

女のしたたかさ、ここにあり。