
長野県中部。
12月中旬。マイナス5度。
山の中に水くみを求めて集まる人たち。
東京や群馬、奈良からも来ている。
孫と祖父だったり、ご近所同士だったり、夫婦で。
タンクに、焼酎の空き容器に、ペットボトルに入れ、それぞれ持ち帰る。
黒耀石の産地で
地下水が岩盤を通り、
ミネラル分が少なく口当たりの柔らかい超軟水が湧き出る、とのこと。
ひっきりなしに訪れる、水くみ場。
「体にいい」
「コーヒーが美味しくなる」
「親や祖父が来ていたから」と訪れる理由はさまざま。
ご近所付き合いの男性二人組。
東京から来た男性が近所の人に連れてきてもらった。
少し考え「親睦で」来た、という地元の男性。
単身移住してきた男性が「水が美味しかった」と会話がきっかけでドライブがてらきたそう。
最近珍しい、近所付き合いの背景が目に浮かぶ。
理容店を営んでいるという現役の7・80代のご夫婦。
月に一度、2時間半時間をかけて、群馬から来ているそう。
近所の人4軒分のために、多くのタンクを持って自家用車に運ぶ。
ここの水が好き、というシンプルな理由で、湧き水ファンのご近所との交流もある。
「朝おにぎりを作って、途中で食べて」レジャーのように楽しんでいる。
高齢でありながら、水を汲んで運んで重い、はずなのだが
その表情は明るく、晴れ晴れしている。
自分たちだけのためではなく、人のために動いていることも、このご夫婦が若々しくいられる秘訣なのだろう。
山の中にあって、わざわざ来る。
蛇口を捻れば水は出る。のに。
長野という地は、水が美味しいし、そばも美味しい。
それなのに、水道水ではなく、湧き水を求める。
私は水の違いがよくわからない。
柔らかい、硬い、まろやか、スッキリ。
たまに飲食店で出されるコップに入った水に「マズっ」と思う時があるが
それ以外は水道水も湧き水もきっと違いがわからない。
72時間スタッフも湧き水を飲んで「スッキリしている」とかコメントしていたが、
味はわからないとも言っていた。正直、そうなんだよね。と笑って同感する。
水を買う人も、よくわからない。
蛇口を捻れば水は出るのに?!と昭和丸出しで我が子たちに引かれることもよくある。
水を買うのは、そういう自分に負けた気がして
普段から、水ではない、お茶や炭酸などのペットボトルを「無理やり選んで」買っているフシもある。
それでも
繊細な舌を持っていなくても、美味しいと思えば美味しいし。
わざわざ車を走らせてきたのだから、と自分に言い聞かせるかも知れないし。
家族のためや人のために水を汲みに来るかも知れない。
単なる美味しい水を求めるだけでなく
人と人を繋ぐ
コミュニュケーションの場、なのかも知れない。