heya-koto

BLOG

2026.02.04令和版【父と娘】哀愁ものがたり

 

夜11時。

 

中1の娘が、

リビングのソファーで、うたた寝をしている父(夫)に声を掛ける。

 

 

「パパ、早くお風呂に入って!」

 

風呂に入るまでが長い父に痺れを切らし

日常的に娘は父に“苦言”を呈する。

 

 

 

 

1   まるで小さなママ

 

娘に言われた父は

一瞬ハッと寝ぼけ眼で目を覚ますが

また寝てしまう事も多い。

 

ある時

「追い焚き(のボタン)押して欲しいなぁ」

とソファーから一歩も動けない?父が娘に懇願する。

 

 

「(追い焚きボタンを)押したって、どうせすぐまた寝るでしょ!もったいない」

家計の心配までする有りさま。

 

 

確かにその通り。と私は思う。

娘は父の行動を全て把握している。

 

 

私の出番は全くない。

何故なら、娘の方が“女房役”として立派に果たしているからだ。

 

 

私の方から娘に「パパに言ってあげて」とか

「寝かせないようにしてあげて」とか

「風邪ひいちゃうから起こして」なんて思考は一切ない。

冷たい妻、なのだ。

 

 

 

 

2   昭和オヤジの威厳

 

あなたも思い出していただきたい。

 

私たち世代(アラウンド50代)の父親、って

こうでは無かったはず。

 

 

THE・昭和のオヤジ。

 

いつもムスッとしていて、新聞を広げ、食卓では楽しい会話などした事がない。ヘビースモーカーで壁紙が茶色に変色していた。

チャンネル権は常に父で、おかげでプロ野球が大嫌いになったのもそのせいだ。

口を聞くのも緊張感があった。

 

一言で言うと、“どよん”とした家の中で私は育った。

 

 

 

その話を同世代の“娘”に話すと、

「うちも!」「全く一緒」と共感をいただく。

ウチだけでは無かった、と同志に会ったようにホッとする。

 

 

が、それぞれ歳を重ねた、父娘の関係が変化する。

いつしか娘の私が父に対等な物言いをするようになった。

 

かつては威張っていたけど、こんなもんか。と。

 

専業主婦の母、子供たちを養うために会社を50年務めあげ、

ここまで不自由なく育ててくれた事は頭が下がり感謝する。

 

 

ほんっとに不器用だ、と思う。

誰にも愚痴を言わず突っ張りながら、家庭を守ってきたのだ。

哀愁を感じずにはいられない。

 

 

 

 

3   胸中はいかに

 

団塊の世代ジュニアとして、

威張り腐った父親(と、一見従順な母親)に育てられた私たち。

結局は父親がどんな態度をとろうが

成長した娘の強力パンチには敵わない。

 

 

男だから、女だから、と声高に言うつもりは無いが

やはり、男と女の性質の違いは否めない。

 

 

娘の上の、三人の兄たちは

自分の父親に、ソファーでうたた寝を繰り返す父に

呆れた様子はあっても注意する事は無い。

 

 

父と息子の関係は淡々としている。

対し

父と娘の関係はまたそれとは違い、

娘はやはり小さなママのようだ。

 

 

遠巻きから見ても、娘にデレっとする、父親。

それをコントロールするかのように突き放すような態度の娘。

 

 

昭和の時代に私が感じた

“父の匂いから存在まで全てダイキライ”は

我が娘からは見られない。

 

 

威厳を振り回していたからこうだったのか、

父親像が崩れているからこうなのか。

 

 

結局のところわからない。

 

 

けれども、

いつか娘が彼氏を連れてくる将来を想像すると

きっと落ち込むのだろうなぁ、と

やはり父親の哀愁を巡らせるのだった。