先月、
社会人一年目の、離れて暮らす長男(22)から
突然LINEがあった。
「印鑑証明って、どうやって取れば良い?」
いつも会話が単刀直入だ。
印鑑は実家を出る時に本人に渡したが、
印鑑証明になるような、立派な印鑑ではない。
そんな事を伝えながら、手続きの方法を確認し
本人は時間を作って役所に出向き、
印鑑証明書を手に入れた。
なぜ印鑑証明書が必要だったか。
一番の、核心部分は話さなかった。
「家か車とか大きな買い物の時に印鑑証明って必要だから
車でも買ったんじゃないか?」
夫が独り言のように私に言った。
案の定、長男は車を買っていた。
8月上旬に長男に会いに行った時に、やっと
「車を買った」本人の口から話を聞いた。
中古で国産のスポーツタイプの車だ。
ローンを組んだ。とも。
全て事後報告だった。
思い返せば
実家を出る前から「車が欲しい」と何度か言っていた。
しかし、そんな長男の熱い想いとは裏腹に
家族の反応は冷ややかだった。
何年か前から、自宅ではカーシェア/レンタカーを週に一回借りて乗っている。
以前は車を所持していたが、暮らし方や家計を見直し
駐車場代、車検代、保険料、など諸々の出費を抑える事ができ、
今では満足している。
レンタルで十分。これが私たち夫婦の結論だが、
長男は違った。
長男の免許取得時にはすでに、自宅に車が無かった。
最初は親の手解きを受け、
その後何度か友人たちとレンタカーを借りてドライブしていたようだ。
運転経験は、さほどではないはず。
今回、長男の住んでいる土地を訪れたが
電車もバスもあり車が無いと不便な場所、でも無さそう。
それでも
誰に何と言われようが、欲しかった。のだ。
思えば、幼稚園に入る前あたりから
既に車好き。
他にも電車や乗り物好き。な子だった。
トミカ博、プラレール博、鉄道博物館、地下鉄博物館、大井川鉄道だって、乗った。
家には何でもごされな種類の「のりもの」たちが
子供部屋、リビングの中心にあった。
小学生になってから、
ポケモンやベイブレード、ゲームにもハマり
少し離れたように感じたが、そんな事は無かったのかも。
おもちゃを買い与えて、その気にさせたのも、親だ。
ミニカーを前に子どもの嬉しい顔を見たら
そりゃホイホイ買いたくなる。
子供達が成長したタイミングで
大量のトミカやプラレールやNゲージは
リサイクルショップに全て買取してもらった。
これで乗り物のおもちゃ時代は終わった。と。
今更気がついたが、
一番所有欲が強いのは
長男ではなく、
散々おもちゃを買いまくってきた、親、だったのかも知れない。
とは言え、入社3ヶ月(現在は4ヶ月目)にして車を買うとは。
いくら合理的に考えても、伝えても
理屈じゃない、計算でもない、本能のようなものか。
人には
どうしても「手に入れたい」欲求があるのだと
改めて感心した。
時代は令和で、彼はもう社会人で、
もう、子どもではない。
自分で稼いで、買ったものは支払って、暮らしている。
遠く離れた場所から、
小言よりもエールを贈ってやろうじゃないか。
自家用車にパンパンに荷物を積んで
家族6人でキャンプに行っていたのも今や昔。
懐かしさと、ともに
一度長男の運転する、お気に入りの車に
いつか、夫と一緒に乗せてもらえるか。
その日を楽しみにしている。