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2026.04.13要らない【ハンカチ】ものがたり

 

 

 

「要らない」って言っているのに、持って来た。

 

 

あるコミュニティで知り合った、Nさんからのプレゼント攻撃があった。

 

 

 

Nさんは私より10歳上の63歳。独身。女性。

 

 

ぱっと見、絵に描いたような“おばさん”の風体。

根元からのソバージュ(!知っている?)のショートヘアに

幾重にも塗ったようなファンデーション。

エコバックはいくつも手からぶら下げている。

 

 

今時珍しいタイプの“おばさん”だなという印象だった。

 

 

 

 

1 プレゼントしたい

 

どうやらそのNさんに気に入られたらしい。

 

 

「あなた、ハンカチ要る?」

 

まだ知り合って間もない時に、突然Nさんから質問された。

 

「え?ええ、何ですか?」

 

いきなりこう言われて、要るも要らないも、ない。

 

 

彼女の言葉から推測するに、プレゼントかな?とも思ったが

まだ仲良くも、しかも私の名前も覚えいない様子の Nさんに

 

「プレゼントなら要りません」

ってはっきり表明するほどの仲でもない。

 

 

 

うわー、なんか変な人に捕まっちゃったかな?

心の中で密かに思った。

 

 

 

 

2 距離感が掴めない

 

昔から友人の少ない私は、

ちょっとクセのある人から気に入られることがあった。

一人でいることも多いので声をかけやすかったのかもしれない。

 

 

今回もその「予想」は当たった。

 

 

Nさんは距離感が掴めない人だ。

 

やはり私にハンカチをプレゼントしたかったらしく、

その話が再度出た時も

 

「ハンカチは要りません」

だけでは冷たい印象を受けるかと思い

 

「お気持ちだけ受け取っておきます」

と、言葉を追加してニコリと笑ってやんわり断った。

 

 

 

少し残念そうな顔のNさんだったが

そうでもしないと相手に主導権を握られ思うままに操られる、と危機感を覚えた。

それは私が過去の出来事から嫌というほど学んだ、消極的な処世術だ。

 

 

初対面から敬語を話せない。

私のことを「犬っぽい(顔)」と言い放つ。

でも、なぜか憎めないんだよね。

 

 

THEおばさん、の見た目ながらも

思ったことを口にする彼女の独特な言動は

少女のピュアな心を持っているように見えたのだ。

 

 

そんな他人からはなかなか理解しづらい

彼女の“近いコミュニュケーション”に人が離れていくのを、感じた。

 

 

 

 

 

3 要らないハンカチ

 

私自身がコミュニティを抜けるため、Nさんとお別れする時が来た。

お別れが近づいて来た時、

何度か断ったはずの、Nさんから例のハンカチをもらった。

 

 

あれほど「要らない」って言ったのに。

心の中では全くもう、、!と呆れたが、所詮言っても無駄な人だ、やれやれ。

 

 

しかも、紙袋の中を後から見返すと

デパートで購入したであろう綺麗に包装された、趣味ではないハンカチ2枚、と

 

そこら辺のスーパーで買ったであろう、菓子パンや値引きシールのついた饅頭まで入っている。

「おいおい。。」あなたは私の何なんだ?

 

 

最後の方では年上のNさんに敬語で話すこともバカバカしくなりタメ語で話した。

他人との一定の距離感を保ちたい私にしては、至極珍しいことなのだ。

それでも距離感は縮まることもなく離れることもなく。

 

 

 

それからNさんに会わなくなり、随分と月日が流れた。

 

 

出勤の際、玄関先で思い出したハンカチ。

そうだ一応持っていこう、と上着のポケットに突っ込んだ。

 

 

 

 

天気予報では夕方から荒れるとのこと。

予報は的中。次第に強くなる横殴りの雨が下着まで染み込む。

持って行ったハンカチがここに来て、役に立った。

 

 

要らないもの、と思っていたのに。

 

 

 

 

捨てる神あれば拾う神あり。

そんなことわざが頭をよぎった。

 

 

 

Nさん元気でやってるか?