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2026.10.12町田そのこ【夜明けのはざま】ブックレビュー

 

 

死について考える。

 

 

『夜明けのはざま』

町田そのこ著

ポプラ文庫

 

 

 

 

 

1 身近な大切な人

 

私ごとで恐縮だが

今年6月、義母が天国に旅立った。

夫の実家はほど近く、離れた地に住む私の両親よりも

当時小さかった子供たちの面倒をしょっちゅう見てくれた。

何より家庭的な事が出来なかった若かりし自分に、

幼稚園のレッスンバッグなど洋裁の得意だった義母は

イチから優しく丁寧に教えてくれた。

今の自分があるのも義母のおかげと言っても過言ではない。

 

身近な人がこの世からいなくなることに

「人って、こんなにもあっけなく最期を迎えるのだ」と思った。

 

それは、遠方の祖父母やおじ・おばが亡くなった時よりも、強く思う。

確かに血が繋がっていて、幼少期にも家族で帰って可愛がってもらった記憶も、当然ある。

 

 

けれど、人というのは、血のつながり云々だけではない

「どれだけその人に会っていたか?」頻度がその人との絆を強めていることもある。

それも、過去ではなく「今 /最近」という前置きで。

 

 

私の中では

以前は大切に思っていた関係もいずれは変わる、という認識である。

 

 

 

 

2 社会の抱えるテーマ

 

このオムニバスでもある『夜明けのはざま』では

家族葬を執り行う葬儀社「芥子実庵」で行き交う人々の思いを描いた小説。

 

大切な人との過去を知りショックを受けたり、知らない一面を垣間見て自分との付き合い方を振り返る人。

喪失と後悔が入り混じった感情たちに、少し苦しくなる時も。

個人的には少し“ウエット”すぎる。

 

 

職業に貴賎なし、が大前提だが職業差別についても触れている。

他にもジェンダーフリーやシングルマザーやいじめなど。

社会が抱えているテーマを取り上げ、読むものにそっと寄り添ってくれる。

 

 

 

 

3 骨はどこへ行く?

 

文中でも

「赤ちゃんの骨は焼くと残らない」の一説に衝撃を受けた。

 

骨という本人の存在した証、がなくなるのだ。

これはきっと親であれば、子供の存在が小さければ小さいほど喪失感で立ち直れないだろう。

 

 

と言うのも

義母が亡くなった時、“骨”について考えた。

確かに“物体としての体”はこの世から無くなったが

骨、そして墓の存在で遺族たちは

故人を偲ぶ思いに至るのではなかろうか。

 

 

もしこれが仮に無い場合、

心の中で祈るしかない。

 

しかしながら、

骨というのは墓を掘り返したりしない限り、

骨との対面は難しいだろう。

そもそも誰がどの骨などかも、もはや、わからない。

 

 

骨にすがる気持ちもありながら、

故人が私たちに一体何を残したかったのだろうか?

 

 

生きている人間の傲慢さと受け取られても構わない。

 

残された人が

(故人の事を思い詰めず)

笑って生きていく。

 

 

大切な人が亡くなったらそりゃあ悲しい。

 

けれど前を向いて生きていく。

 

 

これが最大の“供養”なのではないだろうか。