
日曜はドラマレビュー。
Netflix
向田邦子 原作
是枝裕和 監督
先週まで『北の国から』を全話視聴し、
今週から『阿修羅のごとく』を一話ずつ、毎週追っていきたい。
初っ端から圧倒された。
いやー。凄い。
想像を超えた。
『北の国から』が男たちのドラマだとしたら
対し『阿修羅のごとく』は女たちのドラマだ。
向田邦子といえば、
現代でもなお、彼女の生き方は幅広い層から支持されている。
ファッションや食などを綴ったエッセーは周知の通り。
自称「食いしん坊」として食に対するこだわりを、自身の言葉にして散りばめた向田氏。
高じて、実際「ままや」という小料理屋まで妹(向田家の三女/和子)と共同経営し立ち上げたほど。
これまでの是枝裕和監督の作品では
とりわけ台所(キッチンではない、台所だ)での会話しながらの調理のシーンが印象的。
どの作品にも出てくる台所での調理シーンは
どこの家庭でも出てくるような「フツー」のメニューながらも、ものすごく「美味しそう」。
気張っていない、家庭料理が是枝監督の手にかかれば、たちまち「ごちそう」になる。
お二方の共通点
「食」「会話」を繋ぎ合わせるものは一体なんだろうか。
家庭のシンボリックなもの、として
第一話
「台所」での女たちの「会話」がこのドラマの見どころだろう。
第一話では
次女・巻子(尾野真千子)の家に四姉妹が集合(四女は遅れて参加)し、
鏡開きの割った餅で、揚げ餅を作るシーンがある。
鏡餅で、ひび割れた部分を
「お母さんの踵」みたいだと大笑いする娘たち。
揚げ餅を作りながら母・ふじ(松坂慶子)のことを話す。
・・・・・・
「私覚えているなぁ。お母さんが足袋脱ぐ音」
「夜寝る時でしょう」
「電気消した後、枕元で踵に足袋が引っかかって、なんとも言えないくしゃくしゃした音立てるのよね」
「どうしてあんなにひび割れていたのかしら?荒れ症だったのかな?」
「苦労したのからよ。食べるもの食べない時期があったもの。戦後もののない時でしょう。
滋養になるものはお父さんと子供たち。自分はお雑炊しか食べなかったもの」
・・・・・・・・
苦労をした母のことを思う娘たち。
一番最初のシーンで登場する三女・滝子(蒼井優)は
図書館司書として働く、男気ゼロの真面目な人物。
ある日、父の浮気現場を見てしまった。
集まりの際
「お父さんが面倒見てる人いるわよ」
滝子が興信所に頼み、父・恒太郎(國村隼)の浮気を検証する。
姉妹が集まった時も、父の浮気現場の写真を持ってきたが
皆、滝子の話をまともに聞かない。写真も「玉手箱」と言って見ようともしない。
深刻になりそうな展開だが、
長女・綱子(宮沢りえ)は差し歯が取れ、大笑い。
次女は「デパートでシャツ一枚も買えない人が?!」「人違いじゃないの」と取り合わない。
四女・咲子(広瀬すず)は「末っ子じゃなかったんだ」と落ち込みつつ、テレビをつけて三女と喧嘩してしまう始末。
誰も相手にしてくれない怒りで
「お父さんに女の人がいたのよ!」と声を荒げる滝子。
母を庇うも、母もまた強し。
母も夫の背広をブラシにかけていたら,
背広のポケットからミニカーが発見される。
浮気相手の息子のミニカー。
「でんでん虫」を静かに歌いながら、襖にミニカーを投げつけて穴を開けるシーンは狂気。
(その後桜型の障子紙で補修しているものいい)
穏やかな顔つきで、突如阿修羅さながらの表情になる母。
その後も何事もなかったように過ごす。
家庭の中の母。
女のしたたかさ、ここにあり。