日曜日は、片付けの手を休めて
ドラマ『北の国から』を。
今日は第3話のレビュー。
北海道富良野の地に馴染めず、東京に帰りたい純。
こっそり叔母の雪子に「帰りたい」と告げる。
雪子から純の事を聞いた五郎は
直接父親である自分に話さない息子に対して
「悔しいのではなく、悲しいです」と純に告げる。
親になって初めて見る『北の国から』。
悲しむ。こんな気持ちは当時なかった。
五郎の気持ちがここに来てようやくわかった。
東京に帰ることになった、純と雪子。
車で布部駅まで送った、五郎のいとこの清吉(大滝秀治)から
待ち時間の合間に寄った食堂で、思わぬ言葉をかけられる。
20年以上前に
冷害被害と営農方式が変わったことにより、
家業を畳まざるを得なくなった、清吉の同業の仲間たち。
送りに届けた同じ場所で
その時に流れていた音楽が北島三郎の「なみだ船」
雪子と純に、ゆっくりと清吉が話し始める。
・・・・・・・
「(前略)
そん時わし、やっぱり送りに来たのだ。
雪が、もうちらほら降り始めててなぁ。
北島三郎が流行ってた。
出ていくもんの家族が4組。
送る方はわしと女房のふたり。
だあれも、一言も喋らんかった。
だけどな、そん時わし、心の中で正直何を考えていたか、言おうか?
お前らいいか、負けて逃げるんだぞ。
20何年も一緒に働き、
お前らの苦しみも悲しみも悔しさも
わしゃ、一切知っているつもりだ。
だから他人にとやかくは言わせん。
他人に偉そうな批判はさせん。
しかし、わしにゃ、言う権利がある。
お前ら、負けて逃げるんじゃ。
わしらを裏切って逃げ出していくんじゃ。
そのことだけは、よーく覚えておけ」
・・・・・・・・
父親と向き合わない純に、五郎が「悲しい」と言うものの
五郎もまた、逃げてきた人間だ。
蛍に名前の由来を聞かれ
単身、北海道から東京に夜逃げした際に蛍がまとわりついたエピソードや
別れた妻に「純が帰りたがっている」ことを直接言えず、担任教師の凉子に打ち明け直接本人(妻)に言うように促されるシーンがある。
富良野から、妻から、逃げている。
涼子も東京の学校で生徒とのトラブルで北海道へ来た経緯を五郎に打ち明ける。
雪子も東京で妻子ある男とのトラブルの傷心から北海道に住む決心をしている。
果たして、逃げるのは悪か?
清吉にショックな言葉をかけられ、
戸惑う雪子と純。
電車の中で北海道の景色を眺めながら
思い詰めたように純が涙をこぼすシーンは、思わずもらい泣きしてしまう。
雪子は純を東京に送り届けたら、北海道に戻って住む決心を純に打ち明けた。
結局2人は富良野に戻る。
一旦は逃げたけれど、富良野の地で住むという、覚悟を決めたのだ。
それは五郎もそう。
転んでも立ち上がれ。
前を向け。
逃げ続けるな。と言うメッセージなのではないか。
逃げ続けてはいないだろうか?
逃げないと決めた時
覚悟を決めているだろうか?