『星の王子さま』
サン=テグジュベリ
河野万里子 訳
新潮文庫
大、大、大ベストセラー。
本屋で見かけない時はない。
誰もが好き、であろう。
20歳の時に、一度読んだ。
けれど、正直
さっぱり何が言いたいのか?よくわからなかった。
そして30年の時を経て、
自分が大人になったから理解するかも?と思い、
再度トライしてみた。
断っておくが、最後まで根気強く読んだ。
だが、
やっぱり私には合わなかった。
合わなかった。ただそれだけだ。
ただ、これだけで終わってしまうと
「つまんない」・・・チーン。
これでいいのか?いや、いけない。
大ブーイング、だろう。
星の王子さまを書いた作者や星の王子さまファンにも
申し訳ないので、合わなかった理由となり、を言葉にしていく。
登場するのはバラだったり、
実際には喋らないものが王子さまと喋っている。
そこでもう頭の中はストップしてしまった。
字面は目で追っているが、頭は真っ白だ。
そう、間違いなく私に足りないのは。理解力はおろか、想像力だ。
会話が中心となっているが、会話自体も湾曲しているように感じる。
もっとストレートに言って/伝えてくれ。
そう思ってしまった。
どうも現実社会とはかけ離れた話ばかりで、
ふわふわ宙に浮いたような感覚だ。
挿絵も可愛い。が。
なんだか、電車の中で読んでいて、気恥ずかしい気持ちになる。
文中にあった『世の中のあるある』描写を映し出したもの、
箇所箇所で理解する部分、
特にわがままな人間に対してとか、自分の頭で考えない人とか、忙しいフリをする人とか。
自己啓発本のハシリ?とも捉えられるか。
ファンタジーに料理したことで、感情移入できなかった。
そう、これだけは胸に刺さった。
有名な一文だ。
確かに。
「大切なものは目に見えない」
捻くれ者の意見だ。嫌われついでに言う。
「大切なものは目に入れようとしない」「見ようとしない」ではないか。
掴むのも離すのも自分だ。
とうとう終盤に来てしまった。
単なるディスっただけで、終わってしまったかもしれない。
レビューなど書かない方が良かったか?今でも悩んでいる。
最後に一つだけ
20歳の時読んで以来、
本棚にはずっとこの『星の王子さま』があった。
処分・捨てられなかった、のである。
当時リサイクルもまだ出回っていない頃だ。
本屋で買うと決め、定価で購入して、一応大事にしていた、つもりだ。
それから、結婚し、子供が産まれ、マンション購入と同時に大人部屋がなくなり、本棚も手放すタイミングで
この本も手放したと記憶している。
出会いもそうだが
人に相性があるように、本にも相性ってあると思う。
やはり私は
現実的で単純でシンプルなものに惹かれる。
再認識した一冊である。