
街中で、こちらに向かって歩いてくる人が
「元気?」「久しぶり!」「こんにちは」と挨拶される。
こちらは、
「はて、、誰だったか?」
と考えている間に、
先方が、そのままの調子で向かってくるので
相手に調子を思わず合わせ、
にっこりと微笑んでみたり、首を傾けて挨拶をしたり、小さく手を振ったり、
曖昧な胸の内を置き去りにして
その場を“取り繕う”。
「あれは誰だったのか?」
結局、解決しないまま、すれ違う。そこで終わる。
そんなことはないだろうか?
私はこれまで何回かある。
(逆パターンもある、こちらは相手を〇〇さんと認識していても、相手がポカンとしている、など)
今朝テレビのニュースで
『高齢者ばかりを狙った中古マンションを不当な金額で販売した、不動産会社の社員9人が捕まった』
とのこと。
詐欺のニュースである。
300万円で購入したワンルームマンションを2200万円の価値があると信じ込ませた。
他の被害者は39人にも上り、7億5000万円ほどを騙し取った、そう。
「またか」「詐欺が多いな」「高齢者を狙うなんて」
ぶつぶつと言いながら、テレビに話しかける。
続けて観ていたら
テレビのインタビューで、
被害者の家族曰く、
詐欺師は、初対面であるはずの高齢の被害者に
「お久しぶりです」という、挨拶から始まったそう。
このインタビューを観て、
最初は意味がわからなかった。
初対面なのに「お久しぶり」??何言ってんの?と。
ことの次第がようやくわかった。
認知の歪みの傾向がある高齢者には
「あれ?もしかしたら以前にも会ったことがあるのか」
と信じ込ませる。
そうでなくても
「あれ?会ったことあったかな?私が忘れているだけなのか?」
と思ってしまうだろう。
さらに、自分が忘れてしまっていることへの
相手への“申し訳なさ”が、もれなくついてくる。
どちらにしても、
こちらが思わず「以前にも会ったことがある相手」として信じ込ませてしまう、のだ。
そこから何度も訪問を繰り返し、
身近な話や、健康の話などをしたのだろう、被害者と仲良くなる。
そこで話を持ちかける。
「マンション投資どうですか?」
・・・・・・・・
この一連の流れを想像して
被害者の方には、大変申し訳ないが
「巧妙なテクニック、だなぁ」と感心してしまった。
ここまで人の心を動かすくらいのテクニック。
それにしても、
認知の歪み、と言うのは
高齢者だけでなく
我々50代、若い世代、でも、割とよくあることではないだろうか。
『「自分は詐欺に遭わない」と言っている人ほど、被害に遭いやすい』
各方面から、よく聞く話だ。
自分とて、
冒頭でお伝えした、
見知らぬ人が近づいて話しかけられたら、
思わず挨拶をしたりして、“反応してしまう”。
こんな単純なことでも、ふっと隙間に風が入り込むように、心が動いて、かき乱される。
「あの人は誰だったか?」
そんなことも、
次の日にはすぐに忘れてしまう、都合のいい私である。