日曜日は片付けの手を休めて
今日は第5話。
このレビューを書くにあたり、今週はこの第5話を4回観た。
どのシーンも良すぎて、テーマが絞りきれなかったということもあるが、
4回観れば観るほどに、気づきがあり、話の奥深さに胸が熱くなった。
この話の一番のメインは?ここに至るまで、とても悩んだ。
第5話では笠松の爺さん(大友柳太朗)が登場する。
笠松の爺さんは変わり者として、周囲から嫌われている。
その真相はこの回では詳しくは明らかにされていないが、
笠松の爺さんが五郎の父と開拓時代の親友であった頃、
五郎の父が借金を負い五郎の住んでいる土地をもらったという話を、
出戻りの五郎が笠松の爺さんに挨拶をした時に初めて耳にする。
そんな話は嘘だと皆口々に言うが、五郎だけはショックを隠しきれない。
揺れる五郎。
そのくせ家では、
息子の純に父親としての威厳(これは虚勢だろう)だけは張っている。
最後のシーンだ。
自宅で皆で飲み
純だけに厳しい五郎の態度について、雪子に叱責された後
さらに酔っ払って純の壊した帽子を被り、ぐだぐだになっている。
もうその酔っ払いぶりと言ったら。。
田中邦衛はこの役(五郎)のために生まれてきたのでは?!と錯覚してしまうほど。
それにしても、、
ああ〜〜もうっっ!!!
ここまで湿りきった空気感の中、完璧な演出だったのに一気に壊れた。
全て五郎がぶち壊した。。
そして大笑いしてしまった。
あまりに五郎のダメさ加減に、笑いながら涙がこぼれた。
ここでは「へなまずるい」と言う言葉が何度も出てくる。
その土地では「“へ”はとてもと言う意味、とてもずるいやつ」という方言だ。
他人に対して「へなまずるい」を何度も口にするシーン。
つらら言う存在がいるにも関わらず、雪子に熱をあげる草太。
純の同級生・正吉がズルをしても100点をあげてしまう教師の凉子。
昔は仏の杵さんと呼ばれていたが、その後皆から「へなまずるい」嫌われ者・笠松の爺さん。
だれも、ここで観る限りでは、悪者はいない。
純が、木の皮で苦手な火おこしを何度も練習をしているが、上手くいかない。
さらに、追い討ちをかけるように、父・五郎ができない純に対してキツく当たる。
そんなある時、笠松の爺さんが、ふと純の元に現れ、火おこしを手伝うシーンがある。
それは、これまでの父の突き放した態度とは違い、
爺さんからは酒の匂いはかすかにするものの、優しく一緒に火をおこし、褒めながら指導する。
純は感じたのだ。
「へまなずるい」奴と言われていても、そんなことはないのではないか?と。
ここも名シーンとしてあげたい。
草太兄さんが純に車の中で、父・五郎をかばいながら諭すシーンだ。
最高にいい。草太の純への距離感の取り方が秀逸。
「父さんに嫌われている」
「蛍だけ可愛がっている」
と純が草太に漏らす。
「反感くさいことと言うんでない。男なら絶対言うな」
不器用な父の態度に
「どこの世界にてめえの子供を分け隔てするような親がいる?
男のくせに甘ったれるな」
草太の名言だろう。
小4くらいになると息子と父の関係性はこれまでとは少しずつ変わってくる。
私は女だが、3人の息子たち(と女子1人)を育て、
また自身の2人の弟を見てきて、肌で感じている。
男の子を育てるって、そういうことなんだろうな。
草太兄、かっこいいぜ。
子育ては決して一人(二人でも)できない。
だから、他人の温かい言葉や行動に救われる。
不完全であるが故の享受だ。
私は他人のことを許せているだろうか?
色眼鏡で人を判断していないだろうか?