
裁縫道具使っている?

片付けに伺ったお宅で、
リビングにある携帯用の裁縫セットを見つける。
「これ、どこに置きます?」
「ああ、これね。普段外で使わないのよね。
(世の中には)使う人は使うのだけれども、私は使わないわ」
そうは言いつつも「捨てないで保管する」とのことだったので
裁縫道具がある箱の中に入れさせてもらった。
その裁縫道具もずいぶんと月日が経って使っていない様子。
「使え(づらい)ない」のと「使わない」
似ているようで意味が違う。

以前は
幼稚園のレッスンバッグや体操服を入れる巾着袋などを作ることがあったが
今では既製品で十分事足りるし、園や学校だって手作りを要求していない。
「手作り至上主義」は時代遅れ。
今は頑張って自分で手作りしなくていい時代、なのだ。
「やらなくてもいい」が
一方で「自分でやりたい」と思うこともある。
店で、ネットで、パンツ(やスカート)を購入する。
ボトムに於いて、ウエスト、ピップ、は最重要課題。
このサイズ感が合わないと、キツい、苦しい、ブカブカ。
その後全くと言っていいほど着なくなる。
丈感もチェックする項目でもあるが
短足の自分にとって、そこはあまり注力しない。
なぜなら、大抵のボトムは裾上げをするから。

裾上げや丈つめは、複雑な構造や繊細な生地はリペアショップ(お直しショップ)に持ち込むこともあるが
大抵は自分で裾上げしてしまう。
リペアショップの方が綺麗に仕上がるが、いかんせん時間がかかる。
買ったらすぐに着たい。のだ。

そのため、ネットで買った商品は
すぐに段ボールから開封し、すぐに試着する。
商品が自分のウエスト、ヒップに合うことを確かめたら、
裾を折り上げて確認し
採寸し直し
すぐにハサミを入れる。
少し大袈裟かもしれないが
「この服は着る。返品しない。」と覚悟を入れる瞬間だ。
日常的に行われていることなので
裾上げする裁縫道具の出番は多い。
電車の座席に座った時
真向かいの思しき自分よりも少し年配の女性の手元に目がいく。
手にはカギ編み棒と毛糸が。
この時期の毛糸だけれどもサマーニットか。涼しそうな質感。

先日亡くなった義母が、昔カギ編みを教えてくれたなあ、と思い出した。
それ以外にも入園のバッグや巾着の作り方も不器用な私に丁寧に付き合ってくれた。
一緒に生地を選ぶために、子供を連れてユザワヤにもよく行ったなあ。
実母には小学生の頃、蝶の模様のワンピースや寝巻きを作ってれた思い出がある。
昭和の女性は手作りが当たり前で、そこには彼女たちの手間暇がかかっている。
きっと手の空いた夜中もミシンと手元と眠気と格闘したのだろう、と想像する。
子供が生まれてからというもの、自分もまがいなりなりにも裁縫の手間を覚えた。
今でこそ、子供のための裁縫の出番は無くなり
もっぱら裾上げ専用ミシンになりつつあるが、
母の手作りの思い出は消えない。