
孫の顔を見せるのもいいが
実家に帰ったら、片付けを。
70歳以上の高齢者との片付け。
「片付けをしようとしない」
「頑なに“捨てない”と言い張る」
「私たちの意見を聞こうとしない」
頑固な高齢者に対して、
無理して片付けることもないかもしれない。
一方で
私たち世代(40・50代の)クライアントの親の相談に乗るうちに
親があれほど嫌がっていた片付けをするようになった。というエピソードもある。
「実家に帰りたいけれど、アレルギーが心配で」
実家に子供を連れて帰る際に、
埃が目につく実家に帰るのは、アレルギー持ちの子供が心配だとクライアントから伺った。
実家には帰りたい。
けれど
子供を連れて帰るのは埃が気になり憚れる。
孫の顔を見たいのは、じいちゃんばあちゃんだってそうだ。
お互いに家族の関係は良好。
問題は一点だけ。
埃だらけの家は嫌だ。帰りたくない。ということ。
何度か父母である、じいちゃんばあちゃんにも話した。
「片付けしようよ」
けれど決まって帰ってくる言葉は
「捨てる物などない」
話はいつもすれ違う。
何度もこのやりとりに途方に暮れ、
いよいよ片付けのプロである金内に声がかかった。
「金内さん、実家をお願いできますか?」
とクライアントから相談があった。
聞くと、
物を「捨てたがらない」ご両親とのことで
勝手に頑固なイメージがあったが、
実際お会いしたら拍子抜けした。
どこが??
むしろその逆で
第一印象は
なんとも柔らかい、ホッとするようなイメージの、お二人だった。
アウェイになるかと思いきや、いきなりホームだった。
どんな状況でも覚悟はできている。
けれど、
クライアントからの話と他人である私のイメージはかけ離れていたので
冷や汗をかくような、無駄な緊張は無くなった。
しかし、胸襟を開きながらも
クライアントから話を伺っていた
「捨てる」というワードだけは、絶対に出さないように気をつけた。
ご自宅を方々拝見しながら、ご両親の話を伺う。
家を建てる時
収納を足したいと思って作った、リビングや廊下のご主人お手製の木製の吊り戸棚。
デットスペースを見事に使い、しかも足元は広く使え、なんとも合理的。
「お造りになられたんですか?!たくさん収納があって便利でしょう」
素直に興味深く収納を拝見する。
「でも、これね、歳を取って高い場所だから手も届かないし、地震が来ると心配だから」と
吊り戸棚収納のお悩みを奥様が話し始めた。
うなずく。
「確かにそうですね。この吊り戸棚ですが、何も物を置かない、というより
何かご家族の思い出の写真など軽めのフレームなど数を絞って飾っても素敵ですね」
捨てること以上の、メリットを提案した。
リビング吊り戸棚にあった
重いアルバムを床に下ろし、その中から写真を眺めながら昔話に花が咲いた。
フレームを飾り、いつでも目につく棚に変身した。
次の訪問の際には
リビングの一角に、写真や思い出の品がある
ご家族の思い出コーナーができていた。
片付けだけではなく、掃除も同時進行で進めた。
捨てるかどうか、と意気込むことよりも
何を大切にしているか?に目を向けると
親子の関係だけでなく、その方の暮らしがもっと素敵になる。