
世の中の「怖い」は人それぞれである。
『口に関するアンケート』
背筋 著
ポプラ社
本屋で何度も目にした。
その度に手に取り、また積んだ本の上に乗せた。
なぜか、先日それを手に取りレジに出した。
SNSで話題の本、だそうだ。
映画化もされた、と中学生の娘からも聞いた。
この背筋氏が書かれた『近畿地方のある場所について』という本も本屋で見かけ、気になっていた。
背筋(氏)という奇妙な名前が著者であることは、本を購入してから分かった。
事前情報を入手しないで「無知」のまま読んだ。
あらすじや他の方のレビューを頭に入れてしまうと
先入観が働き、読み進めているうちに
思い描いた物語とのギャップが起こることは多々ある。
他人さまの意見に惑わされて、大抵はがっくりすることも少なくはない。
だから、と言うわけではないが、
正直、私には刺さらなかった。
何が?というと
何が言いたいのかよくわからなかった。
え?ホラーというものをわかっていない?
そうだろう。
ホラーというものに慣れていないせいか、
流れも結末も、全くついていけない。
歳をとっておばさんになり、感性が変わったのだと思う。
これを10代20代の自分が読んだとしたら、
きっとシャンプーしている時も、トイレに入る時も、布団に入る時も、怖がっていただろう。
テレビの中の稲川淳二の怪談を観た後は、同じような震え方をしたものだった。
娘(中1)はこの本を読んで「一人で寝られない」と言ってきた。
(それでもその後サクッと寝たけれども)
気持ちはわかる。
けれど
50代の今「怖いものは何もない」というわけではないが
「そっち」ではない、のだ。
あまりに自分の理解力も想像力も乏しいのが悔しくて
この60ページの手のひらサイズの本を30分、2度読んだ。
けれど全く同じ結果、だった。

自分にとって、一体何が怖いのか?
「これから起こることがわからない」状態
これが、一番怖い。
天変地異、
身近な例では南海トラフ地震。
被害想定の映像をテレビで見ていると不安になる。
けれど、自分の力ではどうすることもできない予想される現実。
ものすごく最小な話をすると「明日会う初対面のあの人がどんな人だろうか?」とか。
呆れるだろう。こんな些細な日常が怖い、のだ。
初対面の人との交流だって、大抵は杞憂に終わる。
ホラーの中のストーリーにのめり込めないのは
あまりに自分に置かれている現実とかけ離れているため、
どうしてもフィクションとして受け止めてしまうのだ。
それがいいんじゃないの。
と、ファンの方からのお叱りを受けそうだが。
残念ながら、あの時の瑞々しい感性には戻れない。
これまでたどってきた軌跡も、それもまた愛おしくも思う。
この本だってそうだ。
改めて自分が成長したのだと感じずにはいられない。
どんな本であっても
本には私の心情をゆさぶるエッセンスが詰まっている。