「ワンちゃん飼いたい!」
今から5年ほど前。
当時小学2.3年生だった娘が私に言った。
どうやら娘の友人宅の柴犬と触れ合って触発されたらしい。
少し悩み
「うーん。。ごめんね、ウチでは飼えないかな」
と答えた。
そりゃ娘の希望も叶えてあげたいが
なんせ、ウチは6人家族。
狭いマンションに肩よせ合って暮らしている。
ペットを飼う金銭的余裕も精神的余裕も、ない。
他にも色々言い訳をしたいところだが、
飼えないものは飼えない。
一過性のもの、と思っていたが、
そうではなかった。
道ゆくワンちゃんを見ては「可愛い〜」
友人宅のワンちゃんを触っては「可愛かった!」
そう話す娘の顔はウットリしている。
娘の飼いたい熱は、なかなか治らなかった。
自分が小学生の頃に猫を飼っていたので、
可愛いだけでは務まらない事くらいはわかっていた。
エサ、抜けた毛の掃除、トイレの交換、などなど。
当時は主に専業主婦の母がしていた。
「誰が世話するの?」
どこの家庭からでも聞こえてきそうな、
母の嘆きとため息がこちらまで届く。
子どもが学校に行っている間だって、私も仕事だ。
家をそうそう開けることもできない。
娘よ、申し訳ないが
家の暮らしの中心は人間だ。
バッサリ切り捨てる事が嫌いだ。
出来るだけ、
なんとか「寄せる」事は出来ないものかと
思案した。
犬も猫も好き。な娘に。
近所のネコカフェに連れて行く事にした。
娘と私のスケジュールが空いた日に
2.3時間、ネコたちと触れ合う時間を作った。
ネコも性格は色々だ。
大人しくしているネコばかりではない。
引っかかれたり。噛みつかれそうになったり。
娘もそれなりに学習した。
動物園や水族館にもよく行った。
他には
娘と歩いている時、たまたま道で会った、
犬を散歩しているママ友を見つけては
「わ!〇〇さん、久しぶり。
ワンちゃん可愛い!触っても大丈夫?」
と近づいて娘と一緒に触らせてもらう。
実は私は、幼少期に犬に追いかけられて以来
トラウマになっていたが、
仕事で訪問するクライアント宅でも、
犬を飼っている方もいるので、少しは慣れている。
そして、娘のために少しだけ頑張った。
最初は怖々していた娘も(私も)、
フカフカの毛並みを触っているうちに慣れてきて嬉しそうだった。
今朝の出勤の際、
ワンちゃんを散歩している知り合いに会った。
何度か道で会う、そのクリクリおメメの愛くるしい犬。
「可愛い〜」いとも簡単に顔が崩れ、
ワンちゃんの頭を撫でた。
娘が居なくても
自分から触りに行くほど、抵抗は薄らいでいる。
そして、その可愛いワンちゃんを撫でただけで
午前中は元気になり、乗り切れた。
ペットの力ってすごい。
現在の娘。
興味の対象が
動物から、漫画やアニメに完全に移行した。
とは言っても
道端ですれ違う散歩中の犬を見ては
「見て、あのワンちゃんじーっと私の事見てた。可愛い」
とやはり、犬好きは相も変わらず。
大人になって、自立してから飼っても遅くはない。
その時は本当に好きにやればよい。
現在では、
習い事のスイミングのテストで級が上がったら
ご褒美に漫画本一冊買ってあげることで
その場を凌いでいるのが精一杯だ。