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2024.10.07絵本【ちいさいおうち】から学ぶ、50歳からの生き方。

 

『ちいさいおうち』 

ばーじにあ・りー・ばーとん ぶんとえ

いしいももこ やく

 

岩波書店

1965年12月10日 第一刷発行

 

 

誰しも手に取ったことが見たことがあるのではないだろうか?

子供が小さい頃の読み聞かせとして何遍も読んだが

今回は自分のために図書館で借りた。

 

 

大まかなあらすじ

 

田舎の自然に囲まれた環境でちいさいおうちは住人達と幸せに暮らす。

しかし街の開拓とともに、徐々におうちの周辺は変わり始める。

おうちのまわりには、ビルや地下鉄が通り、いよいよ誰も住まなくなった。

あるとき、孫がおうちを偶然見つけ、

建築屋さんの協力のもと田舎に引越、移り住む。

最後に、かつての風景のような環境でおうちは幸せに暮らす。

 

 

街の開拓で変わり果てていく、ちいさいおうちだが、

 

家が古くなる。見向きもしなくなる。

誰も居なくなった空虚感。

幸せだった美しかった風景。

 

これは、人間に置き換えられると思った。

 

特に50歳〜の我々世代には大きな共感を得るのではないだろうか?

まるで自分を映し出しているかのようでもある。

ストーリーは落ち込むドン底まで行くが、

最後には立ち上がり、ちいさいおうちは再度、幸せを手にいれる。

 

子供に、孫に「読ませたい」と願っている大人も多いかもしれないが

もしかしたら大人が「率先して」読むべき絵本ではなかろうか。

 

絵本から学ぶべきことがいくつかあったので紹介しようと思う。

 

 

【1 移りゆく現実を受け入れる】

仏教用語で「諸行無常」という言葉がある。

世の中に変わらないものはない、常に移り変わる世界である。と言う意味だ。

まさに「今」も「過去」に変わり、「未来」は「今」になる。

年齢を重ね、身体や環境や立場などの変化を受け入れられない、ことはないだろうか。

まずは現実を知り、そして変化を受け入れること。

 

 

【2 過去の栄光?それでもいい。誇りをもつ】

P1・・・・・

むかし むかし、ずっと しずかな ところにちいさいおうちが ありました。

それは、ちいさい きれいなうちでした。

しっかり じょうぶに たてられていました。

この じょうぶないえを たてたひとは いいました。

「どんなに たくさんの おかねを くれるといっても、

このいえを うることはできないぞ。わたしたちの まごの まごの そのまた まごのときまで、

このいえは きっと りっぱに たっているだろう。」

・・・・本文より抜粋・・・・

 

原点に戻ろう。

過去に囚われすぎるのはお勧めしないが、

未来のために、

過去を懐かしみ、自分を「取り戻す」。

唯一無二の存在であることを忘れないために。

 

 

【3 他の力を借りながらステージを上げる】

最後には、三代先の孫に古ぼけたちいさいおうちを偶然見つけ、

建設屋さんにおうちごと田舎に方々におうちに適した場所を探してもらい、運ばれる。

そして田舎に暮らすおうちには鎧戸や窓を直し、ペンキを塗り、

人が住み、おうちの世話をしてくれるようになった。

 

頑張って突っ張って生きていないだろうか?

だから「人に頼る」ことを恐れない。

人に頼ることができれば、もっと人生が楽になる。

 

誰にでも適材適所がある。

環境の変化、時の変化、家の変化。

しがみつかず軽やかに切り替える時も必要。

 

自分のステージを上げながら、生き方の指針になるはず。

負けちゃ、いかん。諦めるな。

優しさの中に力強いメッセージが込められた絵本である。