風呂に入っている合間の三男の部屋の掃除機をかけていたら、
机上に宿題が広げられており、思わず宿題の中身を見る。
書きかけの作文を少し読み、
何を考え、何を思うか?
「ふーん、意外としっかりしておるな」
高校一年生男子、普段は挨拶程度の会話しかないけれど、
これ、部屋をロボット掃除機がかけていたら、こんな「チャンス」はなかった。
現在、掃除機をかける日常の楽しみの一つになっている。
家事を効率化すること。
タイパ(タイムパフォーマンス)だ、コスパ(コストパフォーマンス)だ、
と言われて久しく。
無駄を省いて自分時間に充てる。素晴らしい、が。
過ぎたるは及ばざるが如し。
「効率を追求しすぎる」と逆に非効率だったり、効率のメリットを失うこともある。
【1 隅々まで磨けない】
目の敵にするわけではないが、
ロボット掃除機、どこまであなたのお宅を綺麗にしてくれるか?
壁は?窓は?鏡は?カウンターは?照明の埃は?
まだまだ「頼ること」は出来まい。
雑巾一枚、片手でさっと拭いたほうが、早く仕上げることができるかもしれない。
【2 時間がかかる】
食洗機が我が家にもあるが、大量の食器は不向きで尚且つ時間がかかる。
洗う〜乾燥まで大体2時間ほど。
待たなくていいのだが、なんとなく「待って」しまう。
しかも予洗いするという「余計な手間」までかかる。
よく「気がついたら終わっているから助かる」と言っている人もいるが
食後早く食器を片付けたい、せっかちな人間には不向きなようだ。
だから15年以上たったの一回しか使っていない。
【3 コストがかかる】
例えば洗剤。
場所別、汚れのポイント用途別、固形や液体や泡タイプ、使う人によって使い分ける、などもあるだろうか。
「時短で一発で汚れが落ちる」そんな文句に惑わされていないだろうか?
衣類や部屋の中を綺麗にするための洗剤だが、こだわりすぎると洗剤の種類が多くなり、収納から溢れ出す。洗剤を買うコスト以外にも、それを収めているスペースにもコストはかかっていることを忘れずに。
【4 家族とのギクシャク発生】
家具などを最小限にする「ミニマムな暮らし」に憧れる人も多いだろう。
こんなことはないだろうか?
SNSなどで傾倒し、自宅にある色々なものを捨て出す。
家事の効率のため、と最初は意気込むが、
次第に家族のものまで「勝手に」捨てるから
コミュニュケーション不足で家族との仲は悪くなる。
捨てることに恐怖を覚えた家族はものが捨てられなくなる。
家族/人間はモノでも機械でも、無い。
独りよがりになっていないだろうか。
【5 美しさの損失】
ズバリ、「パサパサ」してくる。
潤いがなくなる、と言ってもいい。
色々な方のお宅に伺ってわかったことだが、
たとえ、ものが多くても、その人らしさが溢れたお宅というある。
それは他人からは理解し難いかもしれないが、
民藝をはじめ調度品、旅で見つけたお土産の類、の数々が所狭しと、丁寧に並べられていたり、
それらを買ったいきさつや旅の思い出話など「会話」もまた弾む。
その人らしさが美しさに直結すると言ってもいいだろう。
無駄を省くことだけが「目的」になっていないだろうか。
なんのために家事を、片付けを、しているのか。
無駄こそ「贅沢」で「愛すべき」ものである。