
以前、ある雑誌社の取材撮影があった。
編集、ライター、カメラマン。それぞれの3人のプロが、自宅にお越しいただいた。
御三方は仕事で何度もご一緒しているそうで、和やかな雰囲気で仕事が進んだ。
キッチンで撮影している時、
編集の女性がカメラマンの男性に言った。
「自分のお子さんの運動会の時に、他のママやパパから子どもの写真撮って欲しいって言われない?」
「ああ、ありますよ」カメラマンが言った。
「でもそれって、プライベートとは言え、撮った時点で“仕事”になるじゃないですか。
だからなるべくやんわりと断るようにしているんですよ」
・・・・・
きっと、あなたにもご経験があると思う。
自分の“技術”を、タダ(それ同等)で搾取する人に出会う時。
10年以上もブログなどで発信していると、
仕事の依頼以外でも
一般の方から様々な問い合わせがある。
「子供部屋のデスクはどこの商品ですか?」
「押し入れの収納はどちらのものですか?」
など。
主に商品について聞かれることが多い。
先日もメッセージが入った。
「202×年某月某日のブログ記事が見られないから見せて欲しい」と言う内容。
そのブログ内容は
以前私と契約をしていたある企業で、
執筆していたコラムの「お知らせブログ」だった。
その企業とは2年前ほどに契約が切れ、
HPも一新し内容もガラッと変わったので、現在は読むことはできない。
そのように伝え、(一応)謝った。
フツーが通じない。
その人は、「記事の内容を他の媒体でアップロードできないか?」と返信で食い下がってきた。
いやいや、、ちょ待てよ。
フツーだったら「あ、そうですか」と引き下がるだろう。
2年以上も前の外部の記事の内容など、保存しているわけない。
なんならその企業に問い合わせてよ、と思った。
それでも誠実に対応したつもりだ。
「もうとうに消去しており、どこにもございません。
また何かアイデアが思いつきましたらブログにて投稿します」(勿論そんなことしないけど)と。
これで終わりかと思いきや、、
なんとその人から、
「使用した写真を探して見せて欲しい」と返信がきた。
「お手数おかけします」とまで御丁寧に添えてある。
「???」ここまでしつこいのは初めてだ。
計5回のラリー。
こんなくだらないことで
技術搾取だけでなく、時間も精神まで消耗してしまった。
呆れた私は
その人をブロックして、メッセージを消去した。
問題はどこにあるのだろう?
きっと、
タダで他人の情報や技術を簡単に手に入れようとすることが失礼なのだろう。
かなり軽〜く見られているなと感じる。
片付け、家事、舐めんなよ。
でも待てよ。
YouTubeだって、ブログだって。AIだって。
世に溢れる情報はタダ同然に、慣れている私たち。
自分だってそうだ。
タダだからダメ、ということだけではなさそうだ。
自身、仕事の依頼で
ノーギャラの仕事を企業/団体から引き受けることもある。
その場合は
・実績として箔がつく
・経験としてワクワクする
・先方の人柄に負ける(!)
ということで「自分自身が納得した上」で引き受ける。
お金だけではない。
タダで頼まれるにしても、人間性が滲み出る文面だったり。
そんな人には、思わず手を差し伸べたくなる。
単なる商品の問い合わせだって、
嘘でも、こちらを一言でも褒めてくれれば、たちまち有頂天になり
余計なサービスまでしちゃいそう。
ちょっとくらい騙されてもいい。
仕事や人との付き合いなんて、たかが知れている。
結局、ものすごく単純なことなのだ。