9/25(木)
東京新宿で開催中
SOMPO美術館
(9/20〜12/14)
夫がユトリロが好きなこともあり「それならば」と二人で鑑賞した。
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20世紀初頭のパリの街並みを独自のまなざしで描いた
モーリス・ユトリロ(1883-1955)は、生涯を通じて、モンマルトルやパリ郊外、フランス各地の風景を繰り返し描きました。若くしてアルコール依存症を患い、療養の一環として絵筆をとったユトリロは、印象派風の柔らかな作風から出発し、1909年ごろには「白の時代」と呼ばれる、石壁や街路の質感を絵具の物質性とともに表現する独特の様式へと移行します。
これらの作品群は国際的な評価を受け、彼はエコール・ド・パリを代表する画家のひとりとして名を馳せました。
・・・・( 図録「ごあいさつ」より抜粋)・・・・・
「動」か「静」でいえば、
「静」の画家、であろう。
パリの街並みや、フランス郊外の風景を優しげなタッチで描く大衆が好む作品が多い。
実際、美術館も平日の午前中だと言うのに、鑑賞時常に人が隣にいるような状態だった。
特に今回、多くのモチーフになった
ユトリロが足繁く通った
モンマルトルのキャバレー「ラパン・アジル」
その数なんと300点ほどにも上るそうだが、
彼自身の3つの時代ともに描かれた作品を見比べてみるのも面白い。
モンマニー時代
白の時代
色彩の時代
大きく3つに分類されるが、
「モンマニー時代」は全体的に黒みが強く暗い印象。
アルコール依存症の治療として絵画を独学で始めたそうだ。
「白の時代」はガラッと明度が変わる。
白と言ってもくすんだ白。
石灰や砂や鳥のフンまでも絵の具に混ざっている。質感にどこか温かみがあるのは
身近な材料を使っているからか。
ちょうど彼の絵画が売れ出した時だった。
「色彩の時代」は緑や赤などの色使いが印象的。
全体的に温かみがあるユトリロらしい色彩と重厚感がある。
どの時代の作品も、個々が目立つような主張がなく、あくまで風景画。
人物も「記号」と捉えていたためか、作風に一体感を生んでいる。
シングルマザーでもあり画家でもある、母のシュザンヌ・ヴァラドン。
モンマルトルでモテモテの人生、だった。らしい。
お馴染みの、画家のロートレック、ルノワール、ドガ、作曲家のエリック・サティ、など恋愛関係にあったそうだ。
後に認知された父親がわかるものの、
ユトリロ自身祖母に育てられ、祖母がアルコール依存症だったことも原因か、
彼自身も幼少期(!)からアルコール依存症で数えきれないほど入退院を繰り返している。
母の愛情を十分に手に入れられなかった、ユトリロ少年。
成長して後半の彼自身の絵画の中で臀部が大きく描かれた女性像が多く見られた。
「女性に対しての嫌悪」との説には、
母への愛情を求めていたのではと勘繰ってしまう。
画家になって大成功を収めたが、
反面、生涯アルコール依存症に苦しみ
そんな心模様が投影されているのか、
彼の絵画は静かでありながら、なんとも物悲しく。
それでもなお、
生きる勇気を与えてくれたのは言うまでもない。
SOMPO美術館には
ゴッホの『ひまわり』が常設展示されており
現在、上野で開催されている
ゴッホ展にも行くぞ!と今から鼻息を荒くしている。
🇹🇭おまけ🇹🇭
ランチは、歌舞伎町にあるタイ料理
『バンタイ』へ。
グリーンカレーとガパオライスと生春巻き。
芸術の秋。
食欲の秋。なのだ。