秋が来れば思い出す。
遥かな草原、高い空。
あの時、君は可愛かった。
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「ぎゃーっっ、、Gが出た!!」「とって」「とって」「早く!」
布団に入ろうとした時、遠くから何ともいえない低い叫び声が。
納戸にあった殺虫剤を手に持ち、子供部屋に。
部屋のもうこれ以上スペースがないまでに端っこに立つ、大きな図体の高校生男子。
ベッド下を指差し「逃げた!」「とって」「きもいーー!!」
休日、運良く在宅していた主人にお願いして無事退治。
小指の第一関節もないほどの、ちっさなGです。
先日リビングで出くわした大きなGに比べればこんなものは可愛いもんです。
主人・私だって虫は嫌いです。でも誰が退治する?私でしょ。
嫌いとか、言ってられない。
もう、やるしかない。
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子どものために虫とりに行った記憶なぞ、もうどこへやら。
虫をとった嬉しそうな今では見ることのない、写真の中の笑顔。
まぼろしとしか思えません。
あれからちょうど10年。
心身ともに逞しくなったのは18歳、16歳、12歳の息子たち(と9歳の娘)、、だけではなく。
母も確実に逞しくなってきています。
母になるってこういうことなんだ、と太い腕を眺めながら思った、夏の終わり。
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あと10年後はどうなるのだろう。
こんなに嫌いな虫をとりに。自分の子どもにせがまれたら
一緒に草原に虫捕りに行くのだろうか?
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子育ての10年は本当に、まぼろし。
今しかできないことがあります。
今を大切に。