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2025.10.29介護の副産物【老いた親】と向き合う

 

 

年老いた親と向き合う。

 

 

先日、実家に出向き

両親、ケアマネジャー、私の4人で面談した。

 

いつも電話で話すケアマネジャーから、

面談の話を持ちかけられていたので、

今回初めて会う事にしたのだ。

 

 

何てことはない。

両親の様子と今後の事、介護サービスの利用状況など、

あとは、娘である私の意思を確認した。

 

 

 

 

 

1  老人ホーム

 

一年ほど前から

月に一回、定期的に実家には帰るので

両親の様子は話の端々から感じてはいる。

 

最近になってようやく“まともに話せる”ようになった。

 

特に父は厳格な人間で、私が成人するまで

怖くて話しかけられなかった。

成人してからは何度か酒を酌み交わしたりもしたが

お互いに会話を楽しむ事はあまり無かった。

 

それが今になってやっと対等に話せる。

これも介護が必要になった事での副産物である。

 

 

病気で身体が思うように動かない。

時間とともにあちこち不自由が増えていく。

自分(父)が先に亡くなり、残された認知症がある母を残す事が心配でならないようだ。

 

「先にお父さんが亡くなるなんて、そんなの決まったものじゃないわ」

と父に真っ直ぐ言える。

人の寿命など誰もわからない。

 

 

今回ケアマネジャーを交え、老人ホームの話をした。

夫婦で入居?風呂は?看護師は常駐?など。かなり具体的な内容。

本人なりに希望があるので尊重しつつ、今後のもしもの話をした。

現実的に具体的に話ができるのも、介護のプロがいるから。

 

 

 

2   忘れる不安

 

自分たちで出来る限り

今の家に少しでも長く居たい。

 

両親の気持ちはわかる。

老いると、だんだんと自信が無くなる。

自分でもそれは感じるが、親の世代だとまたさらに大きな不安になる。

 

「忘れていく事が怖い」

認知症がある母が、私に言った。

 

以前、実家に帰る時の事。

昼ごはんを実家で一緒に食べようと惣菜を買った。

実家に居る母に、車の中から電話口で、炊飯を頼んだ。

 

「うんわかった」

そう言って実家に到着したら、炊飯どころか米も無かった。

ああ、そうだった。母の状況をやっと飲み込めた。

 

 

さっき話した事をすぐに忘れる

 

短期記憶は著しく忘れっぽい。

しかし30年、40年前の、遡って自分が幼少期の頃の話は

昨日の事のように鮮明に覚えている。

 

認知症というと

全て急に記憶が無くなるイメージがあったがそうではない。

過去の出来事や今思っている不安を具体的に口に出し

母は現在できる事を取り戻そうとしている。

 

 

悲観的になる事はないが、

とにかく話したいだけ話す事が、

母にとっての支えになるだろう。

 

 

 

 

3  娘の立場

 

読んでいて

だんだんと暗い気持ちになっていないだろうか。

大丈夫?

 

実際には、両親と話していても明るい話題などない。

今後の見えない不安や不満や心配ばかり。

 

夫婦だけで暮らすのは、視野が狭くなり思考も巡りが悪い。

ウチだけでは無いはず。

 

 

介護のプロの方々、

ケアマネジャー、医師、看護師、理学療法士、ヘルパーなどのお力で

現状、暮らしを支援していただいている。

 

離れた土地に暮らす娘の私が出来ることは

家事や、本人たちと話して元気づける事、くらいだろうか。

 

 

「3歳児(の頭)だ」と父が母の悪口を言うものなら

「(昔まともに出来なかった)育児ができたと思えば良いじゃない」

と、すかさず笑って突っ込む。

 

他人では言えない、娘だからこそ言える言葉だ。

娘の特権。

 

昔がどうだったか。は、もうどうでも良い。

親子と言う関係を飛び越えて、人間同士の付き合いを見直す。

 

 

介護サービスのありがたさを感じつつ

出来る事を無理なく、と誓った帰り道だった。