久しぶりに帰った
実家の冷蔵庫を開けて
ビックリした経験はあるだろうか。
賞味期限切れの食品たちに出くわす。
変色した野菜や果物
瓶の中には上澄みのカビ
もはや中身が何なのかもわからない物体
など。
一昨日は私の実家に帰り
冷蔵庫の中の片付けと掃除をした。
月に一回
年老いた両親の顔を見て
食事やたわいのない会話をしに行く。
帰り際に冷蔵庫の中も見て、期限切れの食品をチェックする。
半年以上前に、認知症が出始めた母の
「ヘルパーさんが冷蔵庫の食品を勝手に捨てる」と私に話した事をきっかけに
ケアマネジャーに連絡を取り、話し合いの結果
実の娘である私が冷蔵庫チェックをしている経緯がある。
実際には
先方はおそらく「健康を害する」と大義名分で捨てていたらしいが、
本来介護のプロならいかなる理由でも『捨ててはならない』
が、認知症の入った母との会話がどうだったか、その場に居ない私はあまり偉そうに言えない。
そんな理由で、
月に一回帰省したタイミングで冷蔵庫チェックをしている。
溢れるほどの期限切れはないが、
何本も山になった黒くなったバナナ
10日期限の切れたシュークリーム3つ
開封済みの鰹節パックが点在している。
シュークリームを捨て
鰹節パックは一箇所にまとめ、バナナは状態を見てそのままにして
「早く食べてね」とありきたりな声かけをした。
その日の夕方は、近所の夫の実家に帰って
冷蔵庫の中を片付け、掃除した。
帰る目的は冷蔵庫では無かったが、
たまたま開けた冷蔵庫がカオス状態になっており
慌てて夫と2人で片付け、掃除すると言う経緯になった。
ともに80歳を超える二人暮らし。
スイミングや飲みに出かけるほど元気な夫婦だが
冷蔵庫の中はやはり期限切れの食品が溢れていた。
認知症もない。
毎日食事を作る。
健康にも気を遣っている。
が。しかし紛れもなく『管理能力』は下がっている。
45ℓ分ほどの期限切れ肉や魚の食品をゴミ袋に入れ
ゴミ出しの日に出すよう提案した。
食べ切れない余った食材
牛乳瓶10本、ヨーグルト12個、変色しかけの野菜などを自宅に全て受け入れた。
まるまる1日、それぞれの実家の冷蔵庫片付けをした事で
得たものがある。
親と言えども「勝手には」片付けてはならないが、
こと冷蔵庫に限っては
こちらからの「積極的」アプローチで、冷蔵庫を開けてみる。
一緒にキッチンに立って調理するでも良いし
余った食材を持ち帰って食べるでも良し。
冷蔵庫を開けて中身を見るのは
我々子供くらいしかできないなぁ、と思った。
自分だって老眼になり、
小さな数字を読んだりする事が億劫になる最近である。
ましてや親世代は、冷蔵庫の食材の期限などいちいち読むことなど無かろう。
「人の家の冷蔵庫は開けてはならぬ」
親から教えられた事だが、
綺麗事を言っている場合ではない。
しかも家族だからできること。
部屋の片付けも大事だが、
まずは
小さなスペースである、使用頻度の高い、冷蔵庫を片付けてみるのがおすすめだ。
持ち帰った食材は自宅冷蔵庫に。
今度はこちらがカオスになる。
先日新聞の冷蔵庫記事の取材を受けたが、偉そうに言えた義理ではない。
しかし、食材が溢れて、心なしか安心し、幸せな気持ちになる。
ああ、これでは母と同じではないか。
また一つ、老いを認めた瞬間である。