現在、月に一回、
車で1時間ほどの私の実家に、夫と二人で帰省している。
父は77歳、母78歳。
親の介護、と言っても
実際には顔を出して、冷蔵庫の中を賞味期限やらをチェックし、
皆で昼食を一緒にとり、女同士・母と会話。ということをかれこれ半年以上続けている。
普段は、週に3回、ヘルパー、看護師、医師、ケアマネージャーの方々に訪問していただきお世話になっている。
父は呼吸器の疾患があり、家の中もボンベを持ち歩いている。
ここ半年以上は全く外出をしていない。
母は認知症の症状が出始めているが、買い物などのちょっとした外出は人さまの力を借りながら生活している。
先日は母の話をしたが、今日は父の話をしたい。
昨日、実家に夫と帰った。
いつもは無口な父が、珍しく夫に話しかけてきた。
「たけちゃん、頼みがあるんだけれど」
たけこと、夫は柔道整復師をしており、普段は多くの高齢者の方のケアもしている。
聞けば
最近足が思うように運べなくなり、立ち上がりや歩行に支障が出てきている。
まず、夫の見解を仰いで、それから介護プロ達のサービスを受けたい。
と思ったらしい。
夫は静かに話を聞き、
「僕は理学療法は分野外なので」と伝え
できうることを探すために、父に一つ一つ確認を始めた。
細かい話は省かせていただくが、
結局、介護サービスの一環である
理学療法サービスを受けることを、父・本人から断っていた、ことが判明した。
しかも理学療法士は介護サービス初日に二人も紹介もされていたそうだ。
先方の姿勢には全く問題はないことが、
一度も面識のないこちらにも、父の話から伝わってくる。
妻の認知症が心配でそれどころではない、と思ったのか。
自分はまだ大丈夫、と過信したのか。
どちらにしても、受けられるはずのサービスを受けずにいたことはもったいない。
今すぐにでも理学療法士のサービスを受けるべき。
満場一致で父の方向性は決まった。
しかし父は
「理学療法士とは過去に色々あってなあ」
今度は愚痴っぽいことを言ってきた。
入院中リハビリで喧嘩した、とか。
8度5分の熱があるのにリバビリを勧められた、とか。
過去なんてどうだっていいだろう。
この件は、今と未来しか大事じゃない。
さらに目の前にいる自分の妻(母)についても
風呂場で体を洗ってもらうのに、洗い方について文句を言ってきた。
聞いていて「細けぇな〜」と思った。それにしても、こんな父だった?
これについては母をかばった。
客観的にみても、母は悪くない。
それよりも、まずは「ありがとう」だろう。と。
いまだ、夫婦喧嘩もよくする。
こんな時は、もう笑いに変えるしかないのだ。
喧嘩もネタにして笑ってやれ。だ。
それでも夫婦手を繋いでいくのだ。
娘として出来ること。
ケアマネージャーに電話して理学療法サービスをお願いすることや
歩行の筋力をつけるために「一緒に近所を歩こうか?」と提案するものの
「いや、いい。自分のことは自分で話す」
「お前(私)と歩くのは蹴っ飛ばされそうで怖い」と言ってきた。
昭和おやじの意地?がある。
今後、理学療法士の指導と訓練を受けながら
まずは家の中を歩く、それから
喧嘩しながらでも
「妻(母)と一緒に近所の公園を歩けるようにする」という
最終ゴールまで皆で話し合い、決定した。
自立、って子供だけのものじゃない。
大人でも必要なことだ。
今回まともに父と話したかも知れない。
以前は、あんなに怖い存在だった
父親の存在が少しずつ変わってきたのを実感した。