heya-koto

BLOG

2024.02.19脚本家・山田太一さんを偲んで/ドラマ【名セリフ集】

 

昨年末にニュースで知った、脚本家・山田太一さんの訃報。

 

ドラマ

『男たちの旅路』『ふぞろいの林檎たち』など有名な作品もあるが

つい先ほど『思い出づくり』を14話、何日かにわたり、BS-TBSで全て観た。

 

どこにでもありそうな誰にでも思い当たるような、普遍的なテーマであるにもかかわらず

そこには山田太一さんの、いつも暖かくも強いメッセージを受け取る。

 

ドラマの中での、気に入った名言たちをご紹介。

 

 

①『男たちの旅路』

(1989年放映・鶴田浩二主演)

シリーズ4部3回「車輪の一歩」では

当時バリアフリーのまだ認識の浅い、車椅子社会に一石を投じた傑作。

車椅子の青年にガードマン役の鶴田浩二が

ギリギリの迷惑は君たちはかけてもいいんじゃないか」というセリフ。

差別や偏見、そして「誰かに迷惑をかけてしまうんじゃないか」と人目を気にする日常。

 

生きているだけで迷惑はかかるもの。

自分とて、知らず知らずのうちに誰かに迷惑をかけながら生きている。

迷惑なんて思うんじゃない。そんなの、お互い様だ。

 

 

②『ふぞろいの林檎たち』

(1983年放映・中井貴一主演)

落ちこぼれ大学生の青春群像劇。

最終回

就活中、企業の説明会のシーンで西寺(柳沢慎吾)が

企業側のミスで一流大学の優遇に腹を立てるも

一緒に居た、岩田(時任三郎)が

「いいから胸を張ってろ」・・・「結局は生き方よ」と西寺に諭すシーン。

かっこいいぜ。もうこれ以上の解説はないだろう。

 

過去はどうやっても変えられない。

けれども、

考え方・生き方、はいくらでも変えられる。

 

 

③『思い出づくり。』

(1981年放映・古手川祐子主演)

時代が時代、結婚適齢期?!の24歳。

うら若き3人の悩む恋愛事情を描いた作品。

第6回

池谷香織(田中裕子)に振られたお見合い相手・岡崎勇(矢島健一)の再会のシーン。

振られた岡崎が香織に言ったセリフ。

 

平凡で面白みのない人間と自分のことを言って「諦めます」と伝える。

 

「ただ、これは雑談ですけど、

ケルケゴールがこんなこと言っています。」

 

「この頃はみんな面白い人間を求めている。どんなふうに面白いか?どんな面白いことをしたか?そう言うことが人間を判断する基準になっている。

しかし、人間の静かで平凡な強さなどと言うものはあまり評価されない。面白くないから。

それから、こういうことはしておきたい、こう言うことは死んでもしてはいけない、というような一貫した決意を持った人間もあまり評価されない。その場その場で賑やかに面白いことをしたり、面白い発言をしたりする人間が評価される。それは情けないことだ、って言っています」

「それだけです」

 

華やかで煌びやかなものよりも、陽の当たらない場所を常に照らす。

社会的弱者、世の中からつまらないとされているもの、コンプレックスを抱える心。

常に暖かい目で、時に怒りをも感じる、唯一無二の力強いメッセージ。

 

いまの時代、わたしたち、に必要なことかも知れない。

 

大好きな山田太一さん。

ご冥福をお祈りします。