以前伺ったお宅で
押し入れの整理収納作業をしていた時のこと。
押し入れの中にあった、荷物を全て出して、
押し入れに必要なものだけを残した。
その後、ご主人、奥様、金内の3人で
「押し入れに何をどう入れるか?」を検討していた。
その時、おもむろにご主人が率先して「俺がやる!」というので
主体的な人についていく形で、ものを入れる収納作業が始まった。
「何をどう入れるか?」の話は頓挫し「まあ、任せよう」という空気になった。
それでいい。主体的に片付けをやっていくことは素晴らしい事だから。
奥様と金内は補佐的な立ち位置で、ご主人に畳に広がった荷物を一つづつ渡した。
押し入れに荷物を入れる作業に入る前、思ったことを言わしてもらった。
「ご主人、この(畳に置いてある)荷物は、全てを押し入れに入れると、入り切らない、一杯になって溢れてしまいます」と。
大抵はそこで
「じゃあ、どうする?」と再考することも少なくはない。
そして荷物を少し軽くして作業に取り掛かる。
という流れが多い。(ああ、片付けってめんどくさいね)
いっぱいになる。という意見もなんのその?!
「(そんなことは)いいからやる」人の話を聞かないご主人。
そう、そこまでやるならやってみれば。という気持ちになり。
その言葉自体は宙に浮ばせておいた。
引き続き荷物を一つづつ渡す。
なんでも自分で考えたい・解決したい人、だとわかった。
荷物を渡している奥様か金内に「これどこに置こうか?」相談しても良さそうだが
それもない。独り言を言いながら「ああでもない」「こうでもない」と進めている。もちろん押し入れの中のものはご主人だけでなく、奥様とお子さんの持ち物もある。せめて奥様の意見も聞いても良さそうだ。
だが、これは余計なお世話。夫婦の関係に口を出すつもりはない。
ご主人の1人で格闘している姿を見、思った。
「パズルを楽しんでいる様だ」童心にかえっているよう、にも見えた。
もう、こうなったら黒子に徹する。
と思う一方で、ご主人の後ろ姿を見て
「勝手にしやがれ」心の中で毒づいた。
案の定
荷物は押し入れに全部入り切らなかった。
それでも自分の思い通りに
なんとか畳に残っている荷物を入れようとするご主人。
パズルだってピース数が決まっている。
溢れたピースを入れようとしても、それは完成形さえも崩れてしまう。
それでも何とか、ひとり格闘の末、
入れ切った。というより突っ込んだ。押し込んだ。
間違っても、押し入れという言葉は「ものを押し入れる」ことではない。
天井までぎゅうぎゅうに詰まった荷物は
・必要なものを手を入れても取り出せない
・特に奥には何が入っているかわからない
・詰まって入っているので換気がしづらくカビや湿気の原因になりかねない
プロとして最後にこの3つのデメリットをご家族に伝え、
再度、「整理の必要性」を、念を押した。
このお宅だけではない。
なんで片付けの金内を呼んだんだ?と思うことも、結構ある。
背中を押して欲しいのか?正解が欲しいのか?ただ見て欲しいだけか?
理由はどうだっていいが、
住んでいる人が感じる、暮らしやすさ
これが一番実感として願うところである。