
おそらく何度読み返しても、結果は同じであろう。
理解不可能、だ。
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『正欲』
朝井 リョウ 著
新潮文庫
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この長編小説の主人公たち
寺井啓善、桐生夏生、神戸八重子、諸橋大也、佐々木佳道、の5人で構成されたストーリー。
環境も年齢も性別も違う彼らだが、
それぞれに人には言えない、性的マイノリティーを持っている。
そんな性的マイノリティー持った者同士のつながりを求めた話。
一般的に
性的マイノリティーと言って思い浮かぶのは
ゲイ、レズビアン、バイセクシャル、トランスジェンダー、など。
主に「同性か否か?」「男/女」ではっきりと線引きをするようなイメージかもしれない。
この小説は、私の想像する枠を飛び越えた「性的マイノリティー」の話である。
映画にもなった話題作だ。
朝井リョウといえば、最近書店で目にすることの多い作家の一人。
映画も観ていなかったし、朝井リョウ氏作品を読むのも初。
複雑に絡み合ったストーリー。
丁寧に描いた表現。
人間への深い洞察力。
どれもこれもすごいなあ、、と思いつつ。
どうしても感情移入が出来かなかった。
一人一人の登場人物もそうだが、ストーリーにもついていけない。
なぜ、ここの場でこういうことをするのか??
気持ちが入らないまま、
「よくわかんないなあ」と独り言をぼやき、
それを聞いていた家族にも「もう読まなければいいじゃないの」と呆れられつつ、
ページを最後まで進めたが
おそらく先入観が強く、かつ鈍い私には、
正直、全く理解不可能、な作品だった。
ただ、こんな作品は初めての経験だった。
普通か、そうでないか。
この本を理解しようなんておこがましい、のかもしれない。
そもそも自分はフツーの人間だとは思っていない。
「マイノリティー」「少数派」と言う言葉は、つい最近知ったが、
小さい頃から自分は
他人と違う「普通ではない人間」だと思っていた。
生を受けて、遅かれ早かれ、51年。
生きづらいかどうか、なんてどうでも良くなった。
今では、目先の問題、
夜ごはんの献立を考えたり、子どもの進路にちょいちょい首を突っ込んだり、
仕事にひたすら打ち込む日々だ。
最後に
『性欲』という言葉を
自分の言葉で話す、とするならば
快楽のためでもなく、生殖のためでもなく、また生きるため、でもなく。
心の拠り所、として必ず存在するもの。
なくてはならないもの、だろう。
人と違っている「性欲」は皆抱えている。
誰一人として同じ「性欲」などない。
ましてや人の性に対して指を差すことなど、到底できるわけがないのだ。
わざわざ世に表明する必要もない。
密かに自分だけのものとして存在できていれば、
またそれを共有できるパートナーがいればそれだけで良い。