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2025.10.23正直、理解不可能。【正欲】ブックレビュー

 

 

おそらく何度読み返しても、結果は同じであろう。

理解不可能、だ。

 

 

 

📕📕📕📕📕

 

 

『正欲』

朝井 リョウ 著

 

新潮文庫

 

 

📕📕📕📕📕

 

 

 

 

1 それぞれの性的マイノリティー

 

この長編小説の主人公たち

寺井啓善、桐生夏生、神戸八重子、諸橋大也、佐々木佳道、の5人で構成されたストーリー。

 

環境も年齢も性別も違う彼らだが、

それぞれに人には言えない、性的マイノリティーを持っている。

 

そんな性的マイノリティー持った者同士のつながりを求めた話。

 

 

一般的に

性的マイノリティーと言って思い浮かぶのは

ゲイ、レズビアン、バイセクシャル、トランスジェンダー、など。

主に「同性か否か?」「男/女」ではっきりと線引きをするようなイメージかもしれない。

 

この小説は、私の想像する枠を飛び越えた「性的マイノリティー」の話である。

 

 

 

 

 

2 凄すぎてついていけない

 

映画にもなった話題作だ。

朝井リョウといえば、最近書店で目にすることの多い作家の一人。

映画も観ていなかったし、朝井リョウ氏作品を読むのも初。

 

 

複雑に絡み合ったストーリー。

丁寧に描いた表現。

人間への深い洞察力。

 

 

どれもこれもすごいなあ、、と思いつつ。

 

 

どうしても感情移入が出来かなかった。

一人一人の登場人物もそうだが、ストーリーにもついていけない。

なぜ、ここの場でこういうことをするのか??

 

気持ちが入らないまま、

「よくわかんないなあ」と独り言をぼやき、

それを聞いていた家族にも「もう読まなければいいじゃないの」と呆れられつつ、

ページを最後まで進めたが

 

おそらく先入観が強く、かつ鈍い私には、

正直、全く理解不可能、な作品だった。

 

ただ、こんな作品は初めての経験だった。

 

 

 

 

 

3 自分にとって性欲とは

 

普通か、そうでないか。

 

この本を理解しようなんておこがましい、のかもしれない。

 

 

そもそも自分はフツーの人間だとは思っていない。

「マイノリティー」「少数派」と言う言葉は、つい最近知ったが、

小さい頃から自分は

他人と違う「普通ではない人間」だと思っていた。

 

 

生を受けて、遅かれ早かれ、51年。

 

 

生きづらいかどうか、なんてどうでも良くなった。

 

今では、目先の問題、

夜ごはんの献立を考えたり、子どもの進路にちょいちょい首を突っ込んだり、

仕事にひたすら打ち込む日々だ。

 

 

 

最後に

 

『性欲』という言葉を

自分の言葉で話す、とするならば

快楽のためでもなく、生殖のためでもなく、また生きるため、でもなく。

 

 

心の拠り所、として必ず存在するもの。

なくてはならないもの、だろう。

 

 

人と違っている「性欲」は皆抱えている。

誰一人として同じ「性欲」などない。

ましてや人の性に対して指を差すことなど、到底できるわけがないのだ。

 

 

わざわざ世に表明する必要もない。

 

密かに自分だけのものとして存在できていれば、

またそれを共有できるパートナーがいればそれだけで良い。