片付けは単なる「後片付け」にあらず。
整理、片付けと言うと
片付けが苦手とする方は
厄介な“始末”のような事として
捉えがち。
一方で
片付けが好きな方は
片付いていく様が、また結果が出る事に
喜びを感じておられるだろう。
片付け、整理をしていると
片付いた、という結果も大事だが、
片付けの途中、
プロセスそのものにハプニングが詰まっている。
「何が出るかわからない」
片付けにはそんな魅力がある。
ダイニング収納の片付けをしていると
封筒に入ったお札が出てくる時がある。
封筒の中身は持ち主のクライアントに確認していただく。
「ええっと何だっけ?」
「あ!お金だ」
「え??、、でも何でここに?」うーん。
どうやら当のご本人、覚えていないようで
何かしらの目的があって用意していたのだろうが
その用もきっと過去のもの。
臨時収入の嬉しいハプニングになる。
また小銭が至る所から発見され、
テーブルの上に集めたら
ランチに行けるような金額になる事はよくある。
宝探し感覚で片付けをしてみるのも楽しい。
クローゼットの整理を始めると、
だいぶ前に購入した、古いワンピースやスカート、
リバイバルを待っている20年物のデニム(ジーンズ?ジーパン?)など
昔の洋服が出てくる。
「痩せたら着る」と言って
もう何年経っているだろう。
着てみよう。
ぐぬぬ。。
冷や汗と同時に気持ちに焦りが出る。
「⁈⁈」
ズボンがウエストどころかふくらはぎで止まってしまい
足が入らない。
くっっ。。
ひとりごとを言いながら、ファッションショーを試みるが
ついに太ももまで通す事が出来ず、不発に終わる。
加齢に抵抗できない諦めも、
苦々しく認めつつ
自分のファッションへのさらなる開拓への
挑戦が始まるはずだ。
押し入れを整理すると、
ダンボールやプラスティックケースの中から
アルバムや思い出の品が出てくる時がある。
自分も、いつかは迎える時が来るのだが
故人との思い出はつらい気持ちが炙り出される時がある。
以前伺った、クライアント宅での事。
押し入れに入っていた
長く開封していなかった箱を開けた。
箱の中にあったクライアント宛であろう、手紙を取り出し
「・・・・・」
覚悟を持っておられたが
箱を開けた途端、手紙を読んで感情が溢れた様子。
久しぶりに「再会」したの故人を思い出し、涙したクライアント。
しばらくじっと座ったまま思い出を回想し、
それから気持ちを切り替え、キリッとした表情になり、片付けを再開した。
整理は忘れかけた思い出したくない過去と向き合う。
と同時に
気持ちを切り替える作用もある。
涙あり、笑いあり、喜びあり。
ただ片付いてスッキリして「気持ちいい」だけでは
得られぬ経験を育む。
そんな人さまの人生の一幕を拝見し、
片付けって本当に奥深い。
と思うのだ。
ご家族、ご友人と一緒に気持ちを共有するもよし
お一人でしっかり・どっぷりと向き合うこともよし。
制御不能の
ハプニングを楽しみつつ、
片付けを進められてはいかがだろうか。