「金内さん、この中に入りますかねぇ?」
クライアントが、少し不安そうに私を見る。
片付けの現場では、
整理し収納から出した物や、他の場所から持ってきた物などを
押入れや棚、ケースなどの収納に入れる際
目方を予想して物を入れる。
メジャーを使い、
個数や量などを数えてサイジングしていく事もあるが
大体は経験値や勘を働かせて物を入れる。
そのため、側から見ているクライアントは
少し懐疑的になる。
「え?この中に入るの?」
と。
無理はない。
それまで「入れた試しがない」もしくは
「入れたけど入らなかった」のだから。
そんな時私は答える。
「入れます」と。
入るかどうか、より
入れるかどうか。だ。
出来るかどうか?ではなく
やるかやらないか。だ。
そんな体当たり的発言に
言われた方は、苦笑いするのが関の山。
その苦笑いのおかげか、
固くなりがちな表情が和らぎ、
と同時に、その場の空気が変わる。
とにかく、やってみないと気がすまない。
先日も衣装ケースにシーツを入れようと提案し、
クライアントに
「シーツ、ケースに入りますかね?」と聞かれた。
自分の目方予想だと入る。
仮に入らなければ謝り、もしくは別の手段を考える。
その覚悟で
「入れます」
「ただ入れても収納内が100%になるので取り出しにくくはなります。普段はお使いにならないものなので、収納内定期的なチェックは必要になるかと思います」
と一言、二言、添えて了承いただき実行。
押入れ内にあった丸めたシーツを
畳みなおし、シーツは立てるように取り出しやすく入れた。
他の何枚かも同様に。
やる前から「出来ない」と決めつけたくない。
やってみて「出来た」かどうかがわかるのだから。
だから他でも無い自分を奮起するために
「やる」と決める。
じゃなきゃ。やらないで終わってしまう。
衣装ケースに入ったシーツを見たクライアントは
「入った!」と驚き、喜んでいただく。
収納するにもコツがある。
・方法を工夫する(丸める→畳むなど)
・使用頻度によって収納法を変える
・収納内のサイズに合わせて(畳み方など)入れる
など。
これは日々
ダメ元でもやってみる意識で臨む。
いつもやる気があるわけでも
元々こういう性格だから、でもない。
片付けの仕事をしてから、変わった。と言っても良い。
ここ10年ちょっとの話。
クライアントを前に
自信無さげに、あれこれ考える時間はないのだ。
とりあえずやってみる。
しかも、目の前のクライアントは
「片付けが苦手」と少しネガティヴにご自分を責めている事も少なくはない。
だからこそ、少しはみ出し気味に
明るく振る舞う術を、知らず知らずのうちに身につけた。
結果、自分や家族にも跳ね返ってきた。
年齢を重ねて肝っ玉母さんになっただけではない、
出来なくてもやる事で
沖縄の方言をお借りすると
「なんくるないさー」。
(なんとかなるさ)
出来ない環境を作るのは、自分の言葉と心。
ならば
やる、と決めてから取り掛かる。
あれこれ考えていたら
子供は巣立つ、旦那は退職、親の介護だってある。
その時、私は??
時間を有意義に使いたいもの。
散らかった環境を変えたければ
「やる!」と自分に暗示をかけて
手を動かす事をおすすめする。