新学期に入るにあたり、
子供部屋の片付けをするご家庭も多いだろう。
読まなくなった古い本などもその類になるだろうか。
さて我が家にある本で
これだけは子どもがなんと言おうと?!
「捨てないで」と親からお願いしている本がある。
新 13歳のハローワーク
村上 龍 著
はまのゆか 絵
幻冬舎
読んだらすぐにリサイクルに出す私が、これだけは手元に置いておきたい本。
5年以上置いてある。
「13歳の」とあるが、over13でも。
子供が成長しても使う。
大学生になっても、大人になっても、読める本、なのだ。
まだまだ網羅し尽くしていない、手放せないと言う理由もある。
560ページもある厚い本だ。
図鑑や事典のように使う。
気になった職業を引いて、そこから関係性のある職業を思案してみるもの楽しい。
この本の良さは
教科書的に方向性を与えるだけではなく
「何が好きか?」を入り口にして
そこから「こう言った仕事あるよ」と広げてくれる。
収入や内容だけでなく、どうやったらプロになれるか?
その道に到達するまでのキラキラした面だけでなく厳しい面も伝えている。
村上氏だけでなく、プロにも執筆を依頼し
実際の現状も包み隠さず伝えているところに
大人になってからのギャップに悩むことはない、そして覚悟ができるだろう。
まずは買ってみたものの、分厚くて読む気が起こらない?だろうか。
内容は気になった時に読めばいいと思うが
「はじめに」の村上氏のメッセージだけで十分元を取れる。
刺さった言葉をたくさんある中から抜粋する。
・・・・・・・
p5 それでも、自分に「向いている仕事」をしている人は、世の中にそう多くないようです。わたしは、実は小説を書くことがそれほど好きではありません。辛いとか苦しいと感じるわけではないのですが、決して好きではないのです。
P6 「好きなことを探しなさい」「好きなことを見つけなさい」とよく言われます。でも、それはどうやって探せばいいのか、どうしたら見つけることができるのか、教えてくれる人はなかなかいません。(中略)「探して見つける」ものではなく、「出会う」ものなのです。
p7 「自分探し」という言葉があります。わたしがもっとも嫌いな言葉の一つです。
p8 職業が人を選ぶ、というのは事実です。しかし13歳のあなたは、たとえ身長が155センチで止まってしまっていても、ファッションモデルをあきらめる必要はないのです。
p13 手に入れたいものとして自由だと答える人も多いでしょう。
(中略)わたしは、「選べること」が自由だと、個人的にそう思っています。
・・・・・本書より抜粋・・・・
残念ながら、大人世代の私たちはもう過去、13歳には戻れない。
今でも仕事をしながらため息をついている人もいるだろう。
こんな仕事を選んでしまった。と。
それでいいのだろうか?
私は仕事が全て、ではない。と思う。
生活の全般を占めるが、それだけに限らず、だ。
この本を読んで、好きなことを再発見するのは如何だろう。
趣味で楽器を始めてもいいし、
家族のために介護を学ぶ、
シェア畑を借りて野菜を作る。
などなど。
仕事をしながら、自分の好きなことやってみたいことをバランスよく暮らす。
世の中には仕事だけでなく、たくさんの選択肢がある。
これも自由だ。
腐らず年をとっていきたいものだ。