日曜日は
片付けの手を休めて
シリーズが終わり今回から
スペシャル版のレビュー。
83年冬。
年末に五郎と仲間のクマ(通称)が東京に出稼ぎで富良野を一時離れる。
正月になった。
富良野を離れた3人、が麓郷に帰ってくる。
一人は、笠松の爺さんや五郎の父と一緒に、開拓時代で豆景気で一儲けした沢田松吉(笠智衆)。しかし認知症で周りからは次第に不審がられる。
もう一人は正吉(中沢佳仁)。純の同級生で母みどりについてきたものの、家出をして純達に見つかり、五郎の家に一旦引き取ってもらう。
最後に、正吉の母・みどり(林美智子)。博打で失敗した700万円の借金返済ができず、連帯保証人を五郎に責任を負わせた。正吉を追いかけて麓郷に戻る.
それぞれの帰る場所はあるのか。
みどりの借金の連帯保証人になった五郎。
周りの大人達が土地を手放さないように必死で農協から借りようとする。
家に帰れば、正吉が花札を手に塞ぎ込んだ様子。
挨拶もしない正吉に五郎は怒りを向ける。実は正吉も母の借金で悩んでいたのだ。
そんなことも知らず五郎は正吉に強く当たったことで、正吉は家を飛び出してしまう。
暗くなっても帰ってこない正吉。
入れ替わるように、みどりが五郎の元を訪れる。
「私の帰る場所無くなっちゃった」
と自暴自棄になるみどりに
「冗談言うな。故郷(くに)はここだよ。いつだってある」
と励ます。
富良野駅のホームでみどりに話し始める五郎。
・・・・・・
知らないかな?沢田の松吉さん。
帰ってきてんだ。聞いてないかい?
ところがボケちゃってトンチンカンなんだけどさ、でも本当に嬉しそうなんだ。
悪いことは何も忘れちゃって、
自分が女房子供捨てて逃げたことも。土地も財産も何もないことも。
それで、なんちゅうか、
いい顔してんだ。そうなんだ。
何ともいい顔になってるんだ。
ありゃなんか、あのいい顔は、
故郷(くに)に帰って幸せなんだなぁ。
いつか帰ろうとずっと思っていたんだな。
・・・・・
世間のモノサシで見れば、
裏切り者で、金にだらしがない、一人息子の正吉の子育てもしっかりしていないみどり。
中畑にも怒鳴られ追い返されたというように、
人の気持ちを汲むこともできない不器用な人間。
逃げるように故郷に背を向けざるを得ない。
当然恨むであろう、みどりに五郎は
自分を追い詰めた相手に「自分もそうだった」「故郷はいつでもある。帰ってこい」
さらには「一つ頼みがある」
「正吉を一時的に預からせてくれないか」と。
自分が出稼ぎでいない時に正吉がいてくれたら。と。
いくら幼なじみの子とはいえ、
よその子をそんな風に受け入れられるか?
優しすぎるだろう。涙が止まらない。
五郎の借金の肩代わりとして
「自分が持っている山を売ればいい」と松吉が言ったことも嘘だと分かった。
そんな中、いとこの清吉(大滝秀治)は
「みんなが本気で考えてくれとる。早まって地べたを離すんでないぞ」
「地べた離したら最後だぞ」
本気で五郎を助ける。
五郎のために、みどりを叱ったり、皆が金策に走ったり、返済を考えてくれる。
ああ、故郷。。
後半のシーンは、松吉の孫娘・妙子(風吹ジュン)に問い詰められる。
松吉演じる・笠 智衆の演技に息が止まる。
涙ぐみ、懐かしみ、笑みを浮かべ思い出したような表情。素晴らしい。
雪の中、豆を撒くシーンは
故郷の良き時代を思い出す、このドラマのクライマックス、となる。
どんな自分をも受け入れてくれる。故郷。