日曜日は片付けの手を休めて
第11話は
純と正吉の喧嘩、草太の喧嘩、つららの失踪、と
トラブルが続く。
その中でも
小松政夫、蟹江敬三、ほかの名脇役陣の演技に心奪われた。
ある日、正吉が中学生と共に純を呼び出し、いじめる。
追い討ちをかける様に
“五郎と雪子ができている”と皆があらぬことを吹聴した正吉。
純は正吉に復讐を企てるため、草太に喧嘩の仕方を教わる。
最初は純を相手にしなかった草太だが、純の話を聞くうちにその気になった。
草太は、雪子を、また自分が侮辱された噂が許せなかったのだ。
純は仕返しに成功したが
噂は町中に広がり、
飲み屋で知り合い(石丸謙二郎 他)に会った草太は、その噂を聞き喧嘩になる。
警察署に連行された草太。
緊張しつつ心許ない様子。
そこで鼻歌を歌いながら入ってきた
刑事(蟹江敬三)と昔の喧嘩相手だったことを知り、親近感を抱く。
このやりとりは何度も見たい、名シーン。
・・・・・・
刑事「北村草太、さん? 26歳。
富良野市八幡丘、かぁ。
(タバコを吸う。ライターを机の上投げる)
なにやっとんの、いつくにもなって。」
草太「すいません」へこへこする
刑事「覚えておらんか、おらの顔」
草太「いえ・・」
刑事「よくやったべさ、昔。農業高校だべ?」
草太「はぁ」
刑事「おら富良野高だ」
思い出す草太。
・・・・・・
昔を懐かしむと同時に、農業経営の厳しさ、嫁の来ない田舎の現状に嘆きつつ、
「ボクシングしとったら狂気だぞ、この腕は!」と草太に圧力をかける。
この3分ほどのシーンで、ゲキを飛ばす、静かに諭す、タバコを渡して仲間意識を芽生えさせる、自分の過去を振り返り農業をやりたかったと心のうち(弱さ)を見せる、などなど。
蟹江敬三の魅力をたっぷりと堪能できる。
静けさと動乱。
息を呑むほど、緩急のある二人のシーンだ。
もうひとり、このドラマの空気を変える男がいる。
草太の牧場仲間で先輩のタケこと、川島竹次(小松政夫)の存在。
女好きで調子もの。
草太の恋愛相談にいつも乗っている。
草太の恋人・つららからの相談で、心が離れた草太とヨリを戻すために
喫茶店で待ち合わせるために調整する(が、草太はつららと向き合わない)
人の心に寄り添う優しい男でないの?と心が動くも、
実は草太を喫茶店に行かせようとした、もう一つの魂胆があった。
五郎の家を訪れ、雪子にアプローチしていた。
五郎とも初対面、たった1日前に会ったばかりの雪子に風邪薬を渡していた。
草太には、あれだけ雪子の事を「やめとけ」と言っていたのに。
タケ本人は雪子の手を握り、五郎の家に入るなり「ひどい家」と罵り、声をかけた純にも不審がられても。
自分の欲を通したいがために行動する。
キツネがきた!と皆で外に出るシーン。
部外者のタケが「ルールルー」と、皆と一緒に調子を合わせる。
つららと会わず戻った草太が、五郎の家を訪れる際にタケと鉢合わせするシーンは腹を抱えて笑ってしまう。
小松政夫の、どうしようもなく、ずる賢い演技が最高だ。
絶対必要なキャラ。これもキャスティングの妙だろう。
純は喧嘩をしてから、変わった。
つららが失踪し、皆が探し回っている中で、
子供の純(と蛍)は、どうすることもできずにいたが
家にいた寝込んでいる雪子に声をかける。
「つららさんが失踪した」と。
雪子本人を責めるでもなく事実を伝える。
純なりの勇気、だろう。
(困っている)人のために、自分ができることは?
大人になるってこういうことだね。