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2025.10.26ドラマ【北の国から】′89帰郷レビュー/父を超えること

 

 

日曜日は片付けの手を休めて

 

ドラマ

『北の国から』

 

 

今回

89帰郷

 

親になってから観たら、しみた、回。

 

 

 

 

1   名シーン  父と息子の会話

 

純が上京してから一年半。

なかなか富良野に帰れずにいた、純。

 

不良グループから盗んだバイクとは知らずに購入してしまう。

さらには職場の自動車修理場で、五郎からもらった泥のついたピン札が無くなる。

上司が盗んだと純は怒りを露わに傷害事件まで発展してしまう。

 

身も心もボロボロになった純が、富良野に帰る。

 

五郎の入った風呂を炊く純。

 

 

・・・・・・

 

純 「ぬるくない?」

五郎「ああ、良い湯だ」

 

純 「父さん」

五郎「ん?」

 「僕早く言おうと思っていたんだけど、東京でちょっと事件起こしたんだ」

五郎「どんな?」

 「喧嘩して人にケガさせたんだ」

五郎「どうして?喧嘩した?」

 「大事なものをそいつに取られたから」

五郎「そうか…それは人をケガさせるほど、お前にとって大事なものだったのか?」

 「ああ」

五郎「なら仕方が無いじゃないか。男は誰だって何と言われても戦わなきゃならん時がある」

 

 

・・・・・・

 

 

傷害事件を起こした際、

一緒に住んでいる雪子の夫・井関は

純を頭ごなしに「不良だ」と叱りつけた。

 

この、対比である。

 

 

 

 

2   蛍の恋

 

看護師になるため

富良野を離れる事になった、蛍。

 

夜間の看護学校で通学時に

浪人生の勇次(緒方直人)に恋をする。

 

二人は通学時の電車内で恋を育むのだが、

結局、勇次は東京に行く事になる。

 

二人の別れのシーンは、昭和の良い味が滲み出た

何とも胸がキュンとする一幕。

 

周りに気づかれないよう、蛍はプレゼントを

勇次は手紙を蛍に駅のベンチに置く。

こんないじらしい気持ち、とっくに忘れとった。

 

 

蛍の送り迎えをしていた五郎は

純と一緒に恋路を覗き見する事を企む。

バレずに済んだが、

男同士の「バカだなぁ」と、笑ってしまう。

 

 

しかも蛍が最後に勇次に会いたい。と言ってきた時、

温泉を行こうと浮かれていたのを蛍に断られ

五郎はうろたえていたのとは対照的に

 

純は「行ってこいよ」と。大人になったものだ。

 

 

 

 

3 番長たちの言葉

 

純が富良野に帰ってきた。

五郎たちが居ぬ間に実家に帰省し

死んだように寝ている純を「疲れているから」と、

そっとして起こさないようにする。

優しい父親。

 

その後、五郎は草太たちに協力してもらい、純の茶髪を黒くする。

 

寝ぼけ起きた純が見たのは、往年の番長たちの姿。

草太(岩城滉一)、ボスシング事務の会長・新吉(ガッツ石松)、シンジュク(布施博)クマさん(南雲祐介)の4人が一階で待っていた。

 

恐れおののく、純。

 

 

純の髪を染めながら彼らが、かつて悪だった自分と父との確執を語る。

 

父親と喧嘩して負かしてしまった。

一番ショックだったのは、自分だった。

あれから父親が急に老けたように感じた。

 

と。

 

 

父親という存在はどう言う存在、だろうか。

 

純にとって

この富良野の4人の男たちの存在もまた父親のような存在であろう。

 

 

このシーン、大好きだ。

 

ユーモアがたっぷりで

かつ暖かくも強い、男たちの話である。

 

 

父と息子、他人と家族、田舎と都会。対比を見てみるのも興味深い。