中1の娘と映画を観に行った。
鬼滅でも国宝でもMERでもない。
映画クレヨンしんちゃん
『超華麗!
8/8
公開初日を待ち焦がれて映画館に足を運んだ。
留守番していた娘の兄でもある、
三男に「クレしんの映画、観に行ってくるね!」と声をかけたら
「いい歳こいて〜中学生でしょ」と笑われた。
私は言い返す。
「なあ〜〜んにもわかっとらん。クレしんの良さを」
とは言え、中学1年の娘だって
去年までは友人を誘っていたが、今年は誘わなかった。
「もう中学生だし」「クレしんを誘うのは・・」と本人も遠慮がち。
かく言う私だってそうだ。
娘が観て好きにならなかったら永遠にアンチのまま。だったろう。
下品で幼稚で子供だまし?
「おパンツについたうんち」なんて、しんのすけしか言えない。
バッカだなぁ、と独り言を言いながらも
ユーモアは何よりも人間関係を円滑にする。
クレしんで開眼した一人だ。
下品な言動に振り回されて、本質を見ていない人の、なんと多いことか。
舞台は映画大国、インドである。
年間700〜800本の制作本数。この数は何と世界一。
アメリカの年間約350本に比べれば、わかりやすいだろうか。
『きっとうまくいく』『ムトゥ踊るマハラジャ』など
日本でもヒットした作品から見て取れるのは
ミュージカル要素を多く取り入れている。
神妙なシーンから、いきなり歌って踊り出す。とか。
今回のクレヨンしんちゃん映画でも
インド映画のミュージカル要素を詰め込んだ作品だった。
ダンスシーンも多く、インド文化を身近に感じられる。
パンプレットでは、インド街並みの“埃っぽさ”を美術で演出した。と記載があったが、アニメとはまた違った視覚だ。
ボーちゃんこと暴君としんのすけの対決のシーン。
朝日を背景にした、光と影の演出は印象的。
今回の主人公、ボーちゃん。
無口で石ころを集めるのが好きでいつも鼻水を垂らしている、男の子。
他のおしゃべりなキャラ達に押されつつ「鶴の一声」がたまにある。
先日のテレビアニメでは近所のヨシりん&ミッチーというラブラブカップルに対して
ボーちゃんが、たったひとこと「バカップル!」と言い放つ。
この言葉久しぶりに聞いた!と昭和の母、大笑いしてしまった。
そんなボーちゃんが、映画では邪悪な力に導かれ「暴君・ぼうくん」に変わってしまう。
いつもは温和でおとなしい子、が豹変。
でも、元々それって本当の姿なのか?
同時進行でインドのSNSで活躍中のアリアーナという少女の存在もあり
心の葛藤の描きかたも話の中で上手くまとまっている。
友達も自分さえもわかっていない姿を、
しんのすけ率いるカスカベ防衛隊の友達たちが救い出す。
友情物語。はよくある話、だろう。
だが、そこに家族が関わった作品はアニメでは珍しい。
父ひろし、母みさえ、妹ひまわり。
しんのすけの「チーム」はそれぞれのキャラがしっかり立っていながら、
じんわりと暖かい眼差しで、いつもしんのすけを引き立てている。
余談だが、アニメに登場するひろしの兄、せましの家庭はステップファミリーという
現代の社会を反映する家族を見事に演出している(拍手)
映画では父ひろしがボーちゃんを助けるためにパイロットに早変わり。
トムクルーズの『トップガン』さながらに
DANGER ZONEを歌っているシーンは大爆笑。
世代的に知らないはずの中学生も大笑い。
そのあと、ボーちゃんを助ける。
涙がボロボロと止まらなかった。
ああ、家族っていいな。
大人こそ観るべき作品だろう。