あなたのお宅には「一生もの」はあるだろうか?
例えば、ジュエリー、コート、バッグ、など高価なものを指すことが多い。
しかも、同時にそれは手元にあるだけで「使っていないこと」も多い。
片付けの現場
クラインアント宅でも、こういったものはよく拝見する。
だたこれの難しいところは、ご本人に聞いてみなければ
「一生もの」かどうかわからない。と言うことだ。
以前、クライアント宅の片付けの現場で
クローセットの中から、
突如、ウエディングドレスが現れた。
聞くと
「自分が結婚式で着たウエディングドレスを、
娘の結婚式に着させようと思って置いてある」
とのこと。
お嬢さんはまだ2歳くらいになったばかり。
着たいかどうか、の判断どころか、
結婚式やドレスなどのことはずいぶん先なのに、だ。
他所の親子の事に口を挟むつもりはないが、、いや、やはり挟む。
親の完全なるエゴになっていないか?と正直思った。
もちろん仕事なので口には出さない。その時は笑顔で対応した。
成長した本人がどう思うか、想像したらなんとなくわかりそうだ。
とはいえ、私も待望の?娘(兄三人いるので)を出産した時に
成人式の時に祖母から買ってもらった振袖をやっと着てもらえる。
と両手を挙げて喜んだものだ。
人のことは言えまい。
着るかどうかの判断は最終的に本人次第だ。
その白かったであろうウエディングドレスは
すでに茶色に変色した部分が所々にあり、明らかに劣化していた。
劣化を防ぐ唯一の方法は
メンテナンス。これに尽きる。これ以外・これ以上ない。
“こまめなメンテナンス”を怠るとあっという間に劣化する。
ドレス、だけではない。
あなたの家にある、全てのモノはメンテナンスが必要、なのだ。
ここで言う、メンテナンスは何かというと
換気、クリーニング、物自体のチェック、環境を整える、湿度の調整、など。
めんどくさいことをやって初めて、モノがある程度長持ちできる、というわけだ。
しかし、それでも抗えないものがある。
それは「時間」。
時間には逆らえない。
経年劣化で、活き活きしているモノって、
せいぜい使い込んだ風合いを楽しむ革製品くらいだろうか。
それでも革だってボロボロになる時が必ずや来る。
当たり前のことだが
全てのモノは人間と共に、歳をとっていくのだ。
先ほど伝えた、祖母に買ってもらった振袖だが
すでに娘には伝えてあり、
今のところ娘は成人式にその振袖を着ることになっている。
その後、の振袖をどうするか?だが、
娘の子供の代までは考えられない。
娘の成人式が終わったら、二束三文だが
リサイクルにでも出そうかと思っている。
後世まで自分のものの責任は取らせたくない。
一生ものは
自分自身の代(振袖は娘の代)で終わらせるのだ。
ちなみに、5年ほど前に祖母が病気で亡くなった時、
一人暮らしの祖母の家で遺品整理をしようとしたが
何が大切で何を残して、何をこちらが持ち帰っていいのか。
皆目見当つかず、という経験をした。
血の繋がった祖母でさえ、
(祖母にとっての)一生もの、大切なもの、がわからなかった。
ちなみに、私にとっての「一生もの」は無い。
振袖も一生ものでは無い。
これまで「一生もの」として扱ってきたものも無い。
誤解を恐れずに言うと
死んだら何も残らない。
自分の証など大したものはない。
いつ死んでもいいように、綺麗さっぱり、身の回りを軽くしておきたいものだ。