190万回再生(2025/7/5現在)なので
ご存じの方も多いかもしれない。
YouTubeのおすすめ動画で上がってきた
サントリー緑茶
伊右衛門 特茶
『人生の階段』コウメ太夫
何気なく観たら、度肝を抜かれた。
50代コウメ太夫と同世代の私は、グサグサと刺さった。
登場人物は二人。
コウメ太夫が一人二役で演じている。
一人は、素顔のコウメ太夫🎩
もう一人は、お馴染みの芸人・コウメ太夫👘
設定は階段とエスカレーターだけのセット。
白い靄がかかっていてあたりは見えない。
文字や BGMなどの装飾は一切なし。
コウメ太夫同士の会話のみ。
とてもシンプルな構成。
最後にやっとお茶のCMだということに気が付く。
長い階段を登る苦しそうなコウメ太夫(👘)
隣にはエスカレーターで涼やかに登るコウメ太夫(🎩)
・・・・・・・
🎩 「なぜそんな事をしている?
こっちはいいぞ。実に合理的だ。そんな風に汗水を垂らさんでも
勝手に連れて行ってくれる」
👘「どこへ?」
🎩「ん?」
👘「そのエスカレーターはどこへ向かっているのですか?」
🎩「それは誰しもが皆、等しく行く所さ」
👘「じゃあ、生き急ぐ必要はないね」
🎩「でも疲れるだろう」
👘「ああ、疲れる」
🎩「ではなぜ?」
👘「実感が欲しい。この足で人生を全うしたという、実感が欲しい」
🎩「解せんな。どうせ向かうところは同じだというのに」
「!!」
歌い出すコウメ太夫👘
👘「人生の豊かさとは〜何を成したかだと思ったら〜
どう生きたかでした〜」
踊り場で笑顔で直立するコウメ太夫👘
🎩「ちくしょうは無し、か」
踊るコウメ太夫👘
ナレーション「階段は最高だ。
生(せい)の実感を与えてくれるから、
人の生き様を見せてくれるから。
そして、サントリー特茶を飲んで登れば
歩く+特茶で“減る”に差がつくから。
階段最高、サントリー特茶」
仕事で使う、最寄り駅の階段を登る。
もちろんそこには「生きる実感」が欲しいからではない。
いつも登りきった後に肩で息をする。なかなか慣れない。
本当は涼しい顔で颯爽と一段飛ばしで階段を登りたい。が、叶わない。
しかし「何かに負けたくない」のだ。
その何かは
隣でエスカレーターに乗っている人たちかもしれないし
「階段を登る約束」を守る自分への戒めかもしれないし
落ちない肉を落としたいがための苛立ちかもしれないし
そう考えれば、体の中から湧いてくる「生きる実感」なのだろうか。
このCMでは
誰しも向かう「死」というテーマで
シンプルかつ力強いメッセージを発信している。
これまでの芸人哲学を貫いたコウメ太夫が、見事に演じきっている。
老いを強く感じ始めた50歳過ぎの、
芸人としては失礼ながらパッとしなかった?人生。
しかし細く長く続けてきた彼だからこそ
多くの人の共感を呼ぶものになった。
世の中の溢れる効率主義への皮肉も含めつつ
どこか物悲しさを醸し出す、彼のキャラは最高。
他に思いつく人は、いない。
反町でも、キムタクでも、ブラピでも、だめなのだ。
コウメだからいいのだ。