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2022.11.23「じゃない方」の生き方/【コンビニ人間】読書レビュー

 

空気が読めない。

人を疑わず真っ直ぐである。

感情の波が無く、皆についていくのに必死である。

 

 

小説

『コンビニ人間』

村田沙耶香 著

文春文庫

 

結婚して子供がいて、ちゃんとした大人ならアルバイトでなく正社員で稼いで。

みんなと一緒、同じである事をめざして。

そんな生き方、本当に「人間らしい」?

 

同調圧力、平均である事を良しとする価値観の社会に一石を投じた、大傑作。

 

コンビニのバイトを18年。36歳恵子。

結婚なし、彼氏なし。

淡々と生きる日常を描いた、変わり映えのしないバイト人生。

幼少期からの人と違うことでの生きづらさは、コンビニのバイトで、

『遺物を排除し、強制的に正常化』される。

必死で周りと調和しようとしていたが、新入りのバイト、白羽の登場により恵子との暮らしが変わってくる。

淡々とした恵子と屁理屈ばかりの白羽の言葉のやりとりは一見(読?)の価値あり。

 

p123

「普通の人間っていうのはね、普通じゃない人間を裁判するのが趣味なんですよ。でもね、僕を追い出したら、ますます皆はあなたを裁く。だからあなたは僕を飼い続けるしかないんだ」

白羽さんは薄く笑った。

(本文より抜粋)

 

最初から最後までカラリとした文章で、時折笑いに包まれるのは、普通じゃない方の人間であると私自身が感じるから。

 

ラストは「こうきたか…!!」

涙が止まらない。

 

生きるって、働くって、人間らしさって

何だろう。

 

大好きな一冊になったのは言うまでもない。