空気が読めない。
人を疑わず真っ直ぐである。
感情の波が無く、皆についていくのに必死である。
小説
『コンビニ人間』
村田沙耶香 著
文春文庫
結婚して子供がいて、ちゃんとした大人ならアルバイトでなく正社員で稼いで。
みんなと一緒、同じである事をめざして。
そんな生き方、本当に「人間らしい」?
同調圧力、平均である事を良しとする価値観の社会に一石を投じた、大傑作。
コンビニのバイトを18年。36歳恵子。
結婚なし、彼氏なし。
淡々と生きる日常を描いた、変わり映えのしないバイト人生。
幼少期からの人と違うことでの生きづらさは、コンビニのバイトで、
『遺物を排除し、強制的に正常化』される。
必死で周りと調和しようとしていたが、新入りのバイト、白羽の登場により恵子との暮らしが変わってくる。
淡々とした恵子と屁理屈ばかりの白羽の言葉のやりとりは一見(読?)の価値あり。
p123
「普通の人間っていうのはね、普通じゃない人間を裁判するのが趣味なんですよ。でもね、僕を追い出したら、ますます皆はあなたを裁く。だからあなたは僕を飼い続けるしかないんだ」
白羽さんは薄く笑った。
(本文より抜粋)
最初から最後までカラリとした文章で、時折笑いに包まれるのは、普通じゃない方の人間であると私自身が感じるから。
ラストは「こうきたか…!!」
涙が止まらない。
生きるって、働くって、人間らしさって
何だろう。
大好きな一冊になったのは言うまでもない。