「なぜ暴力シーンの多いアニメなんか見るんだろう」
娘に言ったことがある。
その時、娘は
「街を守る正義のためなんだよ」
と熱く言い返したが、
私は真に受けなかった。
ごめん!娘よ。撤回する。猛省する。
暴力や喧嘩や不良たち。
もう少し言えば任侠やギャング、ドンパチ系も、
私の最も苦手とするジャンルだ。
全く観ないし、興味も湧かない。先入観や大きな偏見がある。
大晦日、娘がTVで
WIND BREAKER
撮り溜めたものを何度かチラ見したことがあり、
話はもう2回目になる。
心の中で冒頭の「ああ、またこのアニメか」と思いながら仕事をしていた。
しかし次の瞬間、
アニメの中のセリフに
思わずpcを見ていた画面から、その目線がテレビに釘付けになり
キーボードを打つ手が完全に止まった。
久しぶりに心を打たれた。
その後
大晦日から元旦にかけて
WIND BREAKERシーズン1を全て視聴し直した。
除夜の鐘なんか聞いてられない。
主人もいたので一緒に観た。
「これ何のアニメ?」「面白いの?」とテレビ離れした兄たちが興味を持った。
あまりに夢中で私も家事を疎かにしたくらいだ。
そしてその後
1巻から19巻まで一気に読み上げた。
『WIND BREAKER』
1巻〜19巻
+公式キャラクターブック㊙︎ノート
作者 にいさとる
週刊少年マガジン 講談社
底辺高校・風鈴高校の不良たちの話である。
世間から見た不良のイメージとはかけ離れた
実は「ボウフウリン・防風鈴」というチームで活動する
地域密着型の優しい不良たちなのである。
街を助け、人を助け、敵をも味方にする。
そんな中に一人の転校生が入ってくる。
主人公、桜 遥。
彼は世間や周りの人間を敵にする、喧嘩の強い彼だが
とにかく不器用で孤独なのだ。
その彼が周りの影響を受けながら
次第に変わっていくのがこの話の主軸。
メッセージは至ってシンプル。
ボウフウリンの合言葉。
・・・・・
人を傷つける者
物を壊す者
悪意を持ち込む者
何人(なんぴと)も例外なく
ボウフウリンが粛清する
(本書より引用)・・・
守るための喧嘩、なのだ。
この漫画を通して感じたのは
正義も悪もない。ということ。
敵だった人間が明日には仲間になる。
そんな話だ。漫画だからできるのだ。
さらには敵のキャラの背景や心情などが細かく丁寧に描かれており
登場人数が多くても、キャラがきちんと描かれているがゆえ
全く主人公とのギャップ・落差がない。しかも脇役の底上げ力がすごい。
そんな愛着を持てる不良たち。作者のにいさんの情熱を感じる。
「人を嫌いになるのは自分の心が決めるのだ」と感じずにはいられない。
この漫画の凄さはまだまだある。
「大人になるために必要なのは想像力だよ」2巻 蘇枋隼飛(すおうはやと)
「オレはいつも頼ってばかりだ」「けど」「あいつらもこんなオレを頼ってくれてる」「だからそれに応えるためにオレはオレのできることをする」5巻 梶 蓮
「でも溝があるってんなら」「橋を架けちまえばいい」12巻 梅宮 一
他にも紹介しきれないほど
グサグサと胸をさすセリフの数々。
何度も泣いた。そして笑った。久しぶりに。
正月初っ端から
早くも自分の中で何かが変わったことは言うまでもない。