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2025.06.01ドラマ【北の国から】第7話レビュー/他人の子を育てる

 

 

日曜日は片付けの手を休めて

ドラマ『北の国から』を。

 

 

今日は第7話。

 

母親に会いたい。

純がこっそり中畑木材の家の電話を借りて

内緒で母親に電話をするシーンが今回のメイン。

母親が恋しい子どもの心模様が見事に描かれている。

 

 

が、今回そちらではなく

五郎の親友、中畑和夫(地井武雄)が

子供たちを「育てる」シーンに胸が熱くなった。

 

 

 

 

1 名シーン 「父さんのことは少しは考えろ」

 

時はクリスマスイブ。

林業で忙しくしている父の代わりに子ども達の世話をしているのが

五郎の親友の中畑木材の家(主に中畑のおばさん)。

その子どものすみえと純と蛍と歳が近いこともあって

学校帰りに、毎日の様に中畑家にお邪魔する。

 

中畑家のクリスマスの豪華な食事に浮かれる純だが

中畑のおじさんから、家に帰ることを勧められ

ガックリと肩を落とす純。

 

送り届けた純に中畑はこう告げる。

 

 

・・・・・・・・・・

 

お前も男だろう。

父さんのことは少しは考えろ。

 

母さんが居なくて寂しいのは

お前も父さんも同じことだ。

いや、本当言うと父さんの方がもっと寂しいんだ。

 

父さんがお前よりずっと早くから母さんと一緒に暮らしていたんだからな。

その父さんが寂しいのを我慢してああやって必死で頑張っている。

本当におじさんが見てて涙が出るほどお前の父さんはよく頑張っている。

 

お前、あの家で寝ていて寒くないか?

 

寒いです(純)

 

そうか寒い。

だけど凍えていない。

そうやって生きている。

 

なぜだがわかるか?

 

………。(純)

 

 

父さんが毎晩ストーブの火を絶やさない様に

何度か起きて薪を焚べてる。

 

だから(純と蛍が寝ている)2階はうんとあったかい。

 

そう言うことをお前は知っているか?

 

・・・・・・・・・・

 

知らなかった純。

そこで初めて父の愛情に気が付く。

 

 

 

 

2 富良野の男たちの「父性」

 

第7話では、母の愛が大きなテーマとなっている。

 

純が中畑木材にある電話をこっそり使い、母・令子(いしだあゆみ)に電話をするシーンは同じ母親として胸が痛くなり、思わず涙が出る。

たとえ家庭を捨てた母であっても、子どもはかけがえのないもの。

 

純が蛍にも電話をかけさせ、

その後蛍も、純と同じ様にこっそり学校の電話で母と話す。

一度は母の浮気現場を見てショックを受けてからというもの

五郎の味方であった蛍も。だ。

蛍の複雑な心境がここでは丁寧に描かれている。

 

以前の回だったが

母・令子が五郎との親権の話し合いで

「産んだのは私よ」と涙を溜めながら訴えていたのが印象的だった。

どんな言葉よりも、強力なものだろう。

 

対し、父の五郎は子どもとの関わりに悩み、

それでも必死で陰ながら家を、家庭を守っている。

 

寡黙な父。母親に心が傾く子どもたち。

父子との関係では劣勢に思われた矢先、

中畑の言葉が胸に刺さる。

 

富良野の男たちの父性に、がつーーんとやられた。

草太兄さんも「男だろ!」と純を叱咤するシーンがよくあるが

いやぁーーーかっこいいなあ。

 

喋らない父に変わって、

優しくも厳しく子ども達を育てようとする、中畑の男らしさ。

 

富良野に、男たちに、育てられ、純は大人になっていくのだ。

 

 

 

 

3 他の子を叱れるか?

 

約40年も昔のドラマだ。

しかも

電気も水道もない、もちろんネットも繋がらない。

そんな嘘みたいな環境は想像もつきにくい。

 

母と電話がつながって喜ぶ純のシーンもそうだ。

 

 

そんな中、現代の家庭環境に重ねることはできるだろうか?

 

横の社会やつながりが希薄になった個人主義の現代だからこそ

他の子を育てる勇気なるものは

なかなか私たち大人には育っていないかもしれない。

 

 

それでも、堂々と他の子を育ててもいいのだ。

 

 

中畑のおじさんのように

他人の子の成長を一緒に見届けてもいいのだ。