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2026.01.23漫画【ひゃくえむ。】レビュー/10秒に生きる

 

 

Netflixで3回視聴。

あまりに面白かったので、勢いで立ち寄った書店で漫画本も購入した。

 

 

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『ひゃくえむ。』

新装版 上/下

魚豊(ウオト)著

 

 

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『チ。』の作者、魚豊氏のファンである、娘(中1)からの勧めで、

最初は何気なく観たが

これがずっと心に残る素晴らしい作品だった。

今、頭の中は『ひゃくえむ。』一色。

熱の冷めないうちに記録したい。

 

 

漫画本は劇場版とは内容が変わっている箇所もあったが、

本筋は変わらないで楽しめる。

 

 

 

 

 

1 対照的な二人の主人公

 

この話の軸となる主人公、

トガシと小宮。二人の少年が登場する。

 

小学生の頃から、ずば抜けて足が早く敵無し、のトガシ。

足が遅く「気を紛らわすため」だけに走っている転校生、小宮。

 

対照的な二人だが、

小宮と出会うことでトガシの人生は変わっていく。

また小宮もトガシの影響を大きく受ける。

 

 

トガシの献身的な指導で、走りがメキメキ上達する小宮。

それは高校生ころから、トガシを脅かす存在になる。

 

最初はトガシの“影”として描かれていた小宮だが

いつしか逆転して小宮が映っているのポスターの前を下を向き歩くトガシ。

 

この対比が見事な演出となるのだが、

と同時に、二人でひと組。お互いが無くてはならない対の存在であることを象徴している。

 

 

 

2 孤高の哲学

 

アスリートは孤独だ。

特にこの本での100m走者の選手たち。

 

劇場版には登場しなかったが、漫画本で登場した、

トガシの高校時代のアメフト部との交流がある。

チームプレーと個人プレー。の対比もまた見(読み)どころ。

 

個人プレーだからこそ、深く自問自答することも多いのだろう。

アスリートたちの哲学的な言葉が散りばめられている。

あまりに消化できなかったから、3回も観たのだ。

 

特に後半、トガシの先輩の海棠(かいどう)の言葉にハッとさせられる。

 

 

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P250より引用

「現実は勝手に消えてくれない」

 

 

15年もの現役ながらも紆余曲折あったレジェンドの言葉。

 

 

p254より引用

「いつも最後の最後で負ける現実

一歩先に奴がいる現実

小宮なんて若手が台頭した現実

万年2位なんて呼ばれる現実

今じゃそのあだ名すら明け渡してしまった現実

1秒1秒老いていく現実

ジリ貧な現実

 

生まれる時代が違えばなんて腐るほど言われた

不思議なことにこの世は俺が勝てない“現実”で溢れている。

 

が、これも不思議なことに

とうの俺は「次こそは俺が勝つ」と信じきれている。

なぜかわかるか?」

 

「いえ」と、トガシ

 

「現実は逃避できるからだ」

 

・・・・・・・

 

 

 

 

 

3 走りながら問い続ける

 

現実逃避、というと

現実を見ようとしないで逃げる、というイメージがあったが、そうではない。

目を見開いて、現実を知った上で向かう。

これまでの認識とは、全く真逆の意味合いだった。

 

 

右肩下がりだったが、ある一件で吹っ切れたトガシ。

相変わらずマイペースで崩れない小宮も、また悩んでいた。

 

 

彼らは、ずっと「問い」続けている。

これでいいのだろうか?と。

 

 

答えなんか簡単に見つかるはずかない。

 

自分が動かなければ。

現実逃避しなければ。

 

 

いよいよ最後のシーンでは

たった10秒という一瞬の煌めきの中で答えを見つけ出す。

 

 

感動のシーンだ。

 

 

 

 

社会に出て。

環境が変わって。

人間関係が変わっても。

 

 

変わらないものはある。

この本が教えてくれた。