1995年、今から29年も前になるが、
ファッション誌『Oggi』のカバーモデルでもあった、江角マキコさん。
21歳だった私は、この雑誌の中の江角さんを一眼で見、釘付けになってファンに。
と言うのも、当時のファッション誌といえば、
煌びやかで華やかなキラキラな女の子がもてはやされていたような時代。
そんなファッションカルチャーに逆らうように、
ナチュラルで芯のある、いわゆるカッコいい女性として誌面に登場。
「こんな自然体でシックで美しい女性がいたなんて・・!!」と衝撃を受けた。
江角さん見たさに『Oggi』を毎号購入するほど。
前置きが長くなったが
1995年、同時期に、江角さんが映画初主演『幻の光』のゆみ子役をつとめる。
ミーハー心でもちろん観たが、映画自体、
21歳の青い私にはそれは理解ができないものだった。
ずっと同じトーン、しかも暗く、途中で眠ってしまったのか、話の内容が後になっても思い出せない。
原作・宮本輝さんの小説も読んだが、正直入ってこなかった。
そして、8/12(月祝)に主人に誘われ、鑑賞。
Bunkamuraは改装中で現在Bunkamuraル・シネマ宮下にて開催中。
劇場内、とても快適で席の前との間隔は(私の足が短いだけなのだが)足が届かないほど広くとっており。上映前は落ち着くアロマの良い香りが場内に。
さて、楽しみでもあった、作品。
今更ながら
「是枝監督だったの?!」
初めての長編映画作品。
能登半島地震 輪島支援 特別上映
完全復刻版のパンフレットも購入。
当時とまた、同じ想いをするか・・?!
とにかく、暗い、暗すぎる。
いや、それがいい、ものすごくいい。
輪島の鉛色の空、ゆみ子の黒づくめの服、言葉少なめのカット。
遠回しの近寄らない人物像。影の多い映像。往年の昭和映画を彷彿とする風景の数々。
カメラワークに、とにかく度肝を抜かれる。
暗いから、光が生きるんだ。と。
光と影。生と死。フィクションとノンフィクション。
是枝監督の言葉
p16・・・・・・・・・・
十一月二十一日
「私が小津から学んだのは『物語』などなくても映画を語ることはできるのだ、ということです。
登場人物におりなす物語に到達するためには、私たちはまず彼らを信じなければなりません。物語を語ろうとしてそのための人物像を捜そうとしてはいけません。
まず人物を先に存在させ、それから彼らと一緒に物語を捜すべきなのです。
(ヴィム・ヴェンダース『映画の論理より』)
演出をするのではない。凝視(みつ)めるのだ。
一つの夫婦が崩壊し、そしてまた別の夫婦が変成していく過程を凝視めるのだ。僕にはそれしかできない。今でもそうして来たじゃないか。
その視線が演出だったわけじゃないか。
スタンスは変わらないはずだ。
・・・幻の光パンフレット 「演出ノート」という名の自分史 是枝裕和監督 より抜粋・・・
いつも思うことだが、是枝監督ならではの
カメラを回さない時・普段からの演者との関わりが映画に滲み出ている。
29年の時を経て、改めて観てよかった。
江角マキコさんの存在感に圧倒されつつも、風景と風土に溶け込む江角さんに惹かれる。
ゾッとするほど、やはり美しい。
一コマ一コマ映像の全ての世界が、美しい。
年はとるもんだ。年齢を重ねた今だからこそ、わかるものがある。
そして、
能登半島の災害に遭われた方々の一日も早い復興を祈願する。
🎞️リンク🎞️